わたしの、ふたりの先輩

泡盛もろみ

第1話 ふたりの先輩

私には尊敬する大好きな先輩がいる。

仲良しで、喧嘩もいっぱいして、いつも一緒にいる先輩。


朝、私はいつも気合をいれておめかしをする。

ただ学校に行くだけだけど、先生にみつかると小言を言われるけれど、

先輩に可愛く見てもらいたいから、おめかしをする。


同じマンションの1つ下の階に住んでいる先輩は、いつも7時半頃にエレベータで降りてくる。

私は先回りして先輩を待つ。

そうして一緒に登校するのだ。

そのために高校も同じところを選んだ。

先輩はちょっと嫌そうな顔をしたけど、こうして毎日一緒に登校してくれているので、本心ではきっと嬉しいはずだ。


私は今日もいつも通り先輩を待つ。

こうして少し眠そうな先輩の顔を見られるのは私(と先輩の家族)だけなのだ。

いくつかエレベータを見送る。

開くドアに少し期待しては、出勤するおじさん達の疲れた顔にがっかりする。

そんなことを言っては失礼?恋するJKにおじさん要素は不要なのだ。


★1おじさんを輩出したエレベータが先輩の住む階まで昇っていくことを確認し、少しエレベータに近寄る。

今日は少し早めの時間だけど、先輩だよね。

降りてきたエレベータが開くと、やっぱりそこには先輩がいた。

「おはよう!」

私がそういうと、先輩もいつものようにおはようって…

「チッ…」

舌打ちをされた。

そしてそのまま去っていった。あれ?いつもの先輩は?


唖然として立ち尽くす私をよそにエレベータは動き、また誰かを運んできた。

おっと邪魔になってはいけない。とりあえず横に退けなくては。

そう思いながら見た扉の中から飛び出してきたのは、私服姿の先輩だった。

「まってよぉぉぉぉ!制服かえしてよぉぉぉぉ!」

先輩は情けない顔で涙を流しながら、もう一人の先輩を追いかけていった。

そして転び、大声で泣き出した。

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