第91話 レイニア争奪戦

 さて、木生りの実をどうやって採るか。


 ここは、一番育ってる風の魔法で、実を傷つけずに上手く切れるかを試されているな。


 見た目は、赤黄色のグラデーションのデカいサクランボ。一粒がオレンジ大のスペシャルサイズだ。

 しかも、俺はサクランボを食った事が無いので、食べるのが非常に楽しみ!


 真っ赤なサクランボの方が俺のイメージ通りなんだけど、ここは色では無く味を重視しておこう。


 操風の術は、既に詠唱不要になっているので、ここからガンガン採るぞ!

 今の所は、索敵に掛かる魔物の気配ないので、さっさとやろう。

 収穫に魔法を使いたいから、念の為、投擲用の石を手に持っておき、採取開始!


 5〜6m程ある木の全体には、鈴生りにサクランボがなっている。始めこそ、実は傷つけないものの、ヘタの上だったり、下だったりと不安定な採取ではあったが、すぐに調子を掴んでドンドン取りまくっていた。


 切って、収納、切って、収納を機械のごとく繰り返す。好きな物の為なら、この単純作業も何の苦もない。俺は、収穫ほど好きな事はないからな。


 飽きが来る程の作業だとしても、糧を得られる喜びに勝る物はなかった。


 正直、この手付かずの果実が、魔物の食い物にされるなら、俺があるだけ全て採る!

 悟郎さんに“もういい加減にして!”と言われる迄、俺はやるぞ!言われたらすぐ止めるけど……。


 しかし、せっかく俺が無心で採取をしていたのに、索敵に反応が掛かった。


「………………チッ!何か敵が来たか……。俺の大収穫祭の邪魔をしやがって……。」

「ニャニャッ(任せて)!」


 戦友ともの心強い言葉が届く。

 背中は任せるぞ相棒!でも敵の確認はさせてくれ!



名前 なし

性別 男

種族 ジャイアントレイニアビー

レベル 45

属性 風

状態 激怒


体力 107

耐久 96

力  83

魔力 132

知力 129

瞬発力 145

運 39


特技 突き刺し 呼応 風迅魔法


弱点 羽根 頭


「悟郎さん、ヤツの弱点は羽根と頭!魔法も使える!それと、多分、仲間を呼ぶ可能性が高いから!」


 “呼応”なんて、まさに仲間呼びの特技だろ?

 しかも、“ジャイアント”とか嫌な予感がビシバシ来んだけど?!


 本当にここのギルドは、魔物の間引きしっかりやってんだろうな?!

 戻ったら、アイツイカれクソマッド売却担当を問い詰めてやる!!


 羽蟻もデカかったが、このビーは空飛ぶボーダーコリー。白黒のツートンで縁起悪そうだし、サイズに可愛げが全くない!

 中型犬サイズの蜂とかマジクソだろ!


 悟郎さんが礫乱射でヤツを撃ち落としたが、その前に呼応を使っていた様で、複数の羽音が辺に聞こえて来た。


「悟郎さん!俺も参戦するから!サッサと倒そう!」

「ニャニャッ(うん分かった)!」


 後から来たビーは通常のビーの様で、ジャイアントよりも小さかったが、クソムカつく数が飛んで来た。

 ここは、悟郎さんの機関銃が火を吹くだろうから、俺も続くぜ!


 まさに乱射状態の悟郎さんと、それに負けじと水弾丸を打ち出す俺の攻撃で、追加のビーは次々と落ちて行った。

 だが、ヤツ等も諦めることはせず、また呼応を使って追加の仲間を呼び、応戦してくる。


 更に50匹近いビーが飛来し、すぐに合流した。

 これは、ヤツ等の巣が近くにあるな……。


 蜂と言えば、蜂蜜だろ?

 しかもこのサクランボを食ってる魔物であれば、その蜜もさぞかし美味いだろうなぁ…。美味いんだろ?


 俺の頭の中の皮算用は、サクランボ採取 → ビー殲滅 → 蜂の巣ゲット → ハチミツ掛けパンの実食まで、一気に算出し、更新された。


 それには、コイツ等の殲滅が必須だな。

 悟郎さんの負担を考え、更に水弾丸の射出を早める。


 ビーは羽が濡れると、飛ぶのに影響が出てしまう様で、着弾したヤツの近くにいたビーが、その水を被り速度を落としていた。


 ついでに、俺お得意のミスト噴射を風に乗せて、群がる皆様に潤いプレゼントだ!


 そこへ悟郎さんの機関銃が援護射撃され、確実にビーの数を減らして行った。


「よし!残敵あと少ーーし!!おりゃ おりゃ おりゃ おりゃ よっしゃあぁぁぁーーー!! 」

「ニャオニャッ(ふざけてないで)!」

「悟郎さん!俺ふざけてないよ!きっと、悟郎さんも“よっしゃ○漢唄おとこうた”聴いたら、高まると思うよ!!」

「ニャウ(無理)!」

「試しに聴いてみてよ!あんま上手く無いけど、俺の歌でも感じる物があるはずだよ!何なら、“修羅○果までも”だって歌うよ!」

「ニャニャオウ(真面目にやれ)!」


 クソっ!悟郎さんの食わず嫌いめ!!

 武士もののふたるもの、この程度では怯まんぞ!隙を見て、また歌ってやるからな!


 悟郎さんと言い合いながらも、ビーに攻撃を続けていると、やっと増援が止み、辺りはビーの亡骸だらけになった。


 コイツ等、使いようがあんのかな?


【レイニアビーの亡骸:討伐されたレイニアビーの亡骸。針は加工すると道具になり、本体は乾燥した後、粉末にしてから薬に加工される。】


「また!まただよ!!俺は、異世界の薬を絶対飲まないし、使わない!」


 何の薬効成分がこの虫にあんだよ!!

 本当、意味分かんねぇ!!コイツ等は、全部アイツイカれクソマッド売却担当にぶん投げよう!


「悟郎さん。お疲れ様!魔力大丈夫?」

「ニャウニャ(平気)!」

「だいぶ使ってるはずだから、休んでてね!残りのサクランボ採ったら、蜂の巣を探しに行こう!ハチミツがあると思うんだ!」

「ニャニャッ(うん。分かった)!」


 ディアも狩れたし、蜂の巣採ったら今日は帰ろう。

 そんで、帰りの道すがら、もう1回歌ってみるか!

 よっしゃぁぁぁぁぁぁーーー!!!

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