君と居たい

猫兎彩愛

大切な君といつまでも

「待ってくれ!」

 追いかけても追いかけても君に追い付けない。

どうしたら良いんだ?

 俺が悪かったのか?

 君の為にと言ったあの言葉が君を、傷つけていたのか?

 分からない……

 分からない……



 今日は10年目の結婚記念日。

プレゼントと花束を買い、家へと急ぐ。


 いつもは照れ臭くてなかなか言えないし、俺も頑固だから少し……まぁ、ちょっと寂しい思いもさせてたかもな。

 今日は、素直にいこう。10年目だし。

 何て色々思いながら、ガチャリと、玄関の扉を開ける。


「ただいまー!」


 ん? 部屋が真っ暗だ……なんで……?


 部屋の電気をつけると、テーブルの上に一枚の紙と指輪がある。


 ……暫く、思考が停止する。


 何故……?


「どうして……」


 それから暫くの間、お酒を飲み、暴れまくった……散らかった部屋を見て、涙が溢れてくる。


 そこで、意識を失った――


 *


「……大丈夫?」


 ん? 優しく起こす声がする。

 俺は飛び起きた。


「どうしたの、そんなに驚いて?」


 出て行った筈の妻が、不思議そうな顔で俺の顔を覗き込む。


「何で……」


 そう言いながら、涙が溢れてくる。

夢? だったのか?

 良かった……

 本当に良かった……


 ――俺は、妻をしっかりと抱きしめ、今度こそ悲しませないと誓った――


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君と居たい 猫兎彩愛 @misausa03

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