最長片道切符の旅~2023春~

@120-191

第1話 最長片道切符とは

 最長片道切符とは、文字通り1枚の切符で作ることができる最長経路の片道切符である。鉄道マニアにとってはここから説明することは常識的なことであるため、それに該当する者は読み飛ばして頂いて構わない。


 実際には「最長片道切符」とは解釈の方法が何通りかある。また、その経路は路線の廃止や新線の開通によってしばしば変更される。細かい説明は割愛するが、今回私が採用した最長片道切符のルートは、俗にいうIGR版である。これは、JRだけでなく私鉄のIGR(岩手銀河鉄道)をルートに含んだ経路で、1枚の切符に収めることのできる鉄道の最長営業キロ数をもとに算出されたものである。具体的なルートは、北は稚内駅から始まり、長崎県は新大村駅が終着点の片道切符である。距離にして11252.1キロメートル。また、値段も最高値の94160円である(学割適用で75460円)。この切符の有効期間は56日であるが、特急などを駆使すれば17日ほどで終えることが可能である。無論、そのような勿体ないことはできない私は期限のギリギリまで旅を堪能しようと思う。


 この旅は鉄道マニアにとっては最も難易度の高い旅の一つである。登山家に例えるならば、エベレストに登頂するようなものだと思う。なぜなら、この旅を遂行するための資金約30万円に加えて最低でも1か月ほどの旅行と準備に要する期間。また、鉄道に対する深い造詣と長時間鉄道に乗り続ける精神力。そして、長期間の旅を継続できるだけの体力が不可欠である。これらをすべてコンプリートできる者にのみ資格が与えられる。(無論、学生の身分である私には資金の面で難があるのだが…)

さて、次回では最長片道切符の発券と旅の出発までを綴りたいと思う。

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