第10話 財布を買った
財布を買った。(本日2023年3月4日)
以前、財布がほしいと言った時に話したと思うタイムリミット。
2023年3月21日に無事間に合った。
良かった! これで! お財布を探す日々からの開放だ!!!! いやっほい!!!!!!!
さて、本日はこの財布買うまでのお話をしよう。
2月の後半時点では、私はそもそも別の財布を買おうと思っていた。
理由としては、長財布かつチャックを使用しておらず、小銭入れ部分も広い。カードもたくさん入る。そして、日本でクラフトしている。なんなら、ほぼ私の地元みたいな場所で作ってる。
自分が欲しい物にマッチしてる。
あと、安定供給もしており、在庫もある。
しかし、この財布一つ問題があった。
「財布を実際に手に取れるのは、大阪の店のみ」
その財布は33,000円。
たしかに、オーダーメイドをネットで購入するようなショッピングガチャ女な私だが。
財布に関しては、うーんやはり使い勝手が気になってしまう。
作成してる工房までは30分もかからないのに。
工房には製品を見せる場所はないと、サイトで言い切られてしまっている。
しかも、どうやら財布の厚みがかなりあり、カバンの大きさを選びそうな予感がある。
あれ、もしや使いにくいんでは? と財布を見すぎて思ったのだ。
ただ、使い方が難しい財布は慣れでどうにでもなる。しかし、大きさや厚さはどうしても変わりづらい部分。買うの危険では? と思ってしまった。
思ってしまえば、購入意欲が減っていく。今これを買っても、妥協した感が拭えない。
それでは、今までのストレスに比べて、散財した時の幸福が得られない。
「うーん、ふりだしか」
悩んだ末、もう一度財布探しを始める。
何度も見た革小物のセレクトショップサイトを開いて、もう一度見る。
そして、そこから気になったブランドをもう一回見直した。
「早く買わせろでちゅー」と私の心のネズミが鳴き始める。慌てるな、大丈夫、絶対買うから。まだ、
そんな中、もう一つ有名なブランドが目についた。
正直そこを買うかは最初考えてなかった。
何せ、私は逆張り女、人気と聞くと素直に買えなくなってしまう。
それに、私が好きな動画投稿者の動画でその財布を使っていた人がいたのだ。
推しではないが、なんかそことお揃いもなあと思っていたせいで、スルーしていたブランドだった。
しかし、たまたま、その財布を紹介する動画が好きな革小物のセレクトショップで出ていた。
そのブランドの財布の説明だ。
皮が一枚皮で、折り紙のような仕組みで、一箇所をナットで止めてるという財布。
私が今回懸念していたチャックどころか、ボタン等の金具はない。しかも本体は薄いが、使い込めばしまえる場所もたくさんある。
カードも8枚小分けに入れる場所があり、小銭入れ部分も大きく開く。
なによりも。
「えーめっちゃ可愛いなぁ」
オーロラの箔、一面の金箔、金魚カラー、単色。中の革と表の革が違いがあり、めちゃくちゃかわいい。
そつ、柄がめちゃくちゃ豊富なのだ。こんなに柄あるの!? と私は本当に驚いてしまった。
たしかに、使い心地はちょっと癖ある財布ではある。革を折り込んで作っており、小銭もカードも革で蓋をするように折ってある。
でも、その使いづらさもいいじゃないか。
気づけば、私はそのブランドサイトをSNSで調べ始める。たしかに、その特殊な使い心地に戸惑う人は多いが、デザインは可愛い。
あと、限定カラーも多く、他人も被りづらい。
限定カラー、これはいい響きだが、そもそも財布の仕組みが今の私にとてもマッチしている。
さて、最後の難関は。
「後は実店舗あるかな……って、えっ! ま、銀座あるやん! て、銀座数量限定カラー多すぎ!!!!」
なんと、実店舗があった。しかも、実はよく行く銀座の駅近商業ビルに。こんなとこにこんな店あったか!? と正直びっくりしたし、店の位置を見てももう何度も通っている場所だ。
それに、SNS情報だと、なんと銀座店は相当の限定カラーの財布が多い。こんなにもあるの!? とびっくりしたくらいだ。
しかも、なんと、カラフルな柄や、ペイズリーの型押しされたのや、なんかど派手な着色をされたもの、大きな花柄や、海中っぽい柄、とにかく可愛い柄がたくさんある。
しかも、しかもだ。
「値段31,000円? やっす!!!」
「銀座行くしかねぇなあこりゃ」
こうして、私はカードの与信枠が復活する3月1日は友人が予定あるので、2日の仕事の定時後に財布を買いに行くことにした。平日の午後だし、人少ないから買い物しやすいと思ったのだ。家からそこそこ近いし。
そして、3月2日(木)定時。
「木曜日さん、残業頼めるかな? 〇〇さん明日休みで、今週中に終わらせたいからさあ」
「(虚無の微笑み)はい」
時は繁忙期。私は納期間近の炎上プロジェクトのど真ん中にいた。
仕方ない、諦めろ、明日だ。明日行くんだ。
3月3日(金)定時。
「木曜日さん、今から案件バグでてスケジュール調整の会議だからよろしくね」
「(虚無顔)はい」
終わった。土曜日は夕方ライブだし、昼間は母親の用事でとある手続きをしにいかなければならない。そう考えると行けるわけがない。
日曜日は混むだろうし、なにより部屋の片付けと賢いコンを終えたい。それに今週がこの状況なら来週平日の夜なんて、無理極まってんだろ。
つんだ。
「どうしよーーー」
唸り声あげていると、母親が近づいてきた。
「どうしたん?」
「うーん、明日財布買いに行きたいでござる。でも母上、明日は手続きしなきゃでござろう? 拙者も推しと推しの対バンライブがあるでござる。時間がないでござるー」
「いや、手続き午前中に終わるし、そのまま一緒に行けばいいじゃん」
母親は私のふざけた口調はいつものように無視して、そう優しい言葉をかけてくれる。原宿や渋谷、新宿には着いてきてくれるが、今まで銀座には着いてきてくれない母親(※ライブは除く)。
それがなんと着いてきてくれるらしい。しかも、手続きの時間も合わせてくれるらしい。
「ありがとう、母上。感謝す」
「へいへい」
そんなわけで、私達の母娘は手続きさっさと済ませ、電車に乗って銀座へとやってきたのだった。
とりあえず、まずは、腹拵え。
ということで、財布のお店がある商業ビルの一番下のフロアで良さそうな飲食店を探す。
生魚・魚卵が食べれない私と、海老と八角が嫌いな母親。
悩んだ結果、ふぐラーメンのお店を選んだ。
理由は簡単だ。空いていて、お店の中で食べれそうな店がふぐラーメンかパスタしかなかった。
そうなったら、なかなか食べる機会のないふぐラーメンを食べたくなった。しかも、QRコード決済使える。最高。
なにより、店員のお姉さんがとても優しく。おしぼりには、可愛い手書きの文字で「ご来店ありがとうございます」とニッコリマーク付き。
こういうものを見ると、ついつい嬉しくなってしまう。
選んだラーメンは、ふぐラーメン塩の極み。
トッピング全部のせってやつである。うちの母親もそれにした。なお支払いはもちろん私である。
味はとても美味しかった。最初なにも味変せず食べたときは、少しだけ独特なダシの風味があった。しかし、柚子七味を一振り。
つゆの湯気と共にふわりと香る柚子七味。
柚子の香りがその独特なクセのあるダシを上品にまとめ上げている。
「旨っ」
細い麺はあっさりとしたスープとよく絡み、味玉はしっかりと味が染みて濃厚。メンマは塩分が効いてるが、それが上品だけじゃないとパンチを効かせている。
それに、ふぐだ。チャーシューのかわりに生のふぐが乗っている。生ざかな食べれない私は、スープに潜らせるが、そのスープの熱さだけでプリプリの白い魚肉を魅せてくる。
口の中でもぷりぷり。歯ごたえもよく、生臭さは殆どない。でもこれは美味しい魚、よくわかるんだなこれがうまい。
「美味しいね」
母親に声を掛ける。母は静かに一回頷いて食べ続ける。
いつもなら一言二言返してくれるのに、むっすりたしたままラーメンを食べている。
美味しくないのか? と不安に見ていると、母親が私を見た。
「わさびとレモン、わさびとレモン入れた方がいい」
それは付け合せに付いてきた味変用のもの。たしかに私はまだ入れてない。
母親がそういうのだから、美味しいのだろう。
どちらも入れてみる。
そして、一口。
早く入れなかった事を後悔した。
わさびの風味が本当にふぐによく合う。そして、レモンの酸味もまたよくあっている。
私も気づけば無言で食べていた。スープも結構飲んだ。腹がはち切れんばかりだ。
食べ終わり、「ごちそうさま」と言いながら水を飲む。
この店の水が入ったコップは、結露が出ない高いやつ。水もキンキンに冷えていないが、一番飲みやすい温度のもの。
行き届いている。
さて、そんな中母親を見た。スープを飲み干していた。私は人生で初めて、母親がラーメンのスープを飲み干したところを見た。
お店から出た母親は、真剣な顔で私に言った。
「人生で一番美味しいラーメンだった」
まさかの、展開である。その後、まるで溜まってたものが溢れるように、ラーメンのどういうところが美味しかったと語り始める。本当に美味しかったのだろう。
奢った私としては、嬉しい限りだ。
あれ、これ、財布買うレポだよな?
ラーメンのレポじゃないよな?
ということで、そんな母親の話を聞きながら向かったのは、お目当ての財布の店である。
やはり何度も通ったことある道、そこにこんな店があるなんてと新鮮な驚きだ。並べられたオシャレな財布たちを見ながら中に入ると、お兄さんがパソコンで何か仕事をしている。
財布触っていいんだろうか? ちょっと戸惑いつつ、とりあえずぐるりと柄を見る。
中にはSNSで見ていた気になっていた柄のものもある。私はその一つを指した。
「これかわいいよね」
「え、微妙」
なんとも、辛辣で失礼極まりない母親だ。でも、これは人の好みである。
「それならこっちでしょ」
母親が指したのはオレンジっぽい皮に青と赤のぼかしが入ってる可愛い革。たしかにかわいいがしかし。
Not for me.
私のためのものじゃない。
そう本能が言ってるのだから、しょうがない。
そうやってぐるぐる見ていると、お兄さんが気づいたのか近づいてきた。
「お探しですか?」
「はい、あの、長財布触ってもいいですか」
自分、会話下手すぎか?
どんだけお触りしたいんだ。
「あ、大丈夫ですよー」
お兄さん、優しさの塊や。
そして、長財布を手に取る。本革のこの重厚でしっとりとした感触すきぃ。らびゅ。
語彙力な〜くな~る。
そんな感じで色んな柄の長財布を、魅せてもらう。ただ、なんだかしっくりくるものがない。
柄は素敵なのだが、なんというか物足りないのだ。
そうやって、うんうん悩んでいると、お兄さんは在庫が入ってる箇所をさーっと見始める。
そして、見終えた後、私は悩み始める。
これだというものはない。
「派手なのがお好きですかね?」
そうお兄さんが声を掛けてきた。
「はい、大好きです!」
思わず声を上げる。
私は派手なのが好きである。
「あの、これ実は色々な柄があるんですけど」
そう言いながらお兄さんが指したのは、最初母親がいいと言っていたのと、その上にある同じオレンジの革で、流水模様と言われる言わば絵の具を水に垂らした時に出来るような模様。青と少しの緑が美しい柄だ。
確かに素敵だが、そこに並んでいるものは正直物足りなかった。
でも、お兄さんが在庫から出した柄。
「この流水模様は、孔雀柄なんです」
そうまるで、雄の孔雀柄が羽を広げた座やかな青と緑。そして、柄の隙間から見えるオレンジの革が美しい。
「カッワイイイイッ!!!」
つい、心の底から『可愛い』が出てしまいました。うるさくてすみません。
「柄もぜひ見てみてください」
美しい一枚で繋がる孔雀のような流水模様。
はああああ、まじ国宝じゃん。
ただ、こういう柄物で確認しなければいけないことがある。
「この柄って、エイジングどうなるんですかね」
「色が全体的に濃くなって、艶が出てきます。でも、色は抜けることないです」
色は抜けることはない。
そう、色褪せがこの世で一番心配だった。
しかし、お兄さんは言い切ったのだ。色抜けはないと。
散財チャァァンス!!!
金ピカの文字が頭に浮かぶ。
「買います」
「ありがとうございます、刻印しますか?」
「します!」
しれっと1,100円追加された気がする。
でも、いいんだ。刻印は可愛いから。
(そして、本名を入れちゃった)
そんなこんなで財布を購入したのである。
もう、今幸せだ。しかも、これから推しライブだなんて。(入場待機列でレポを書く人)
さあて、これからライブです。
それにしても、何で店員は私が派手好きなのがわかったのだろう。
ふと辺りを見渡す。
周りは基本黒orアースカラーの服を着ている。
その中で私はバチバチのマスタードカラーワンピース。差し色は、真緑とロイヤルブルー。
色の暴力と言える服装。
そうだよな、この服装で来たら派手好きバレるよな。
そう思う私なのであった。
ライブ楽しんできます!
と書こうと思ったら、ライブハウス電波が終わってました。現在無事にライブを終えて、帰宅しております。
それにしても、ライブ用の靴が、ほしい。
足が痛い。
とても痛い。
これも全て、何も考えずローヒールブーツ選んでしまったせいだ。ああ、次は靴がほしい。
散財チャァァンス!!!
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