愛とは、

双葉るい

第1話 森山美咲

高校2年、美咲は初めて恋をした。いわゆる初恋というものだ。それまで女友達の間で繰り広げられる恋愛話には興味が湧かなかった。男性のタイプ、クラスの男子の中だったら誰と付き合いたいかなど、話についていけなかった。そんな時誰かが言った。

「私が男だったら美咲と付き合いたいな」

その言葉だけ何故か美咲の心にしっくりきた。

『私は女の子が好きなんだ』

その時初めて自分自身について知れた気がした。

初恋というものは綺麗なものだと美咲は思っていた。相手のことを考えてドキドキして、自分を磨いて幸せになる。そう思っていたはずなのに実際は違った。いや、同性愛だから違ったのだろう。


これまで美咲の母は「好きな人いないの」だとか「かっこいい子いないの」だとか恋愛関係の話をたくさん美咲に聞いてきていた。だから美咲も初恋をしたら母には言おうと決めていた。

夕食を食べていた時、ちょうど同性愛者のインタビューがテレビで流れた。今だと思い口を開こうとすると母の言葉に遮られてしまった。

「同性愛なんて気持ち悪いわね」

美咲は開いた口が塞がらなかった。

気持ち悪い、1番信頼している人に1番言われたくない言葉だった。

「どうしたのそんな顔して」

「いや、別に、、、。」

もしかしたら聴き間違えかもしれない。そう思い美咲は聞いた。

「お母さんは、私の恋愛対象が女の子だったらどうする?」

母の表情はまるで汚らわしい人を見ているようだった。

「例え話だよ」

そう言うとほっとしたのか、

「そうよね、美咲は男の子が好きよね」

と安心した顔をした。

美咲は同性での恋愛は世間が思っている普通の恋愛とは違うことを知った。

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