第2話 中谷悠人


悠人の父は普通という言葉をよく使う人だった。親の言う普通の人になるため悠人は勉強も運動もそれなりにできるように努力していた。ただ1つ努力しても実らないものがあった。

それは恋愛だ。

悠人は数年前から自分が同性愛者、つまり恋愛対象が男ということを自覚していた。

自覚したきっかけは些細なものだった。これまで好きになった人は男だったというありがちな話だった。

しかし、このことは友達にも家族にも伝えていなかった。昔から

「お前は普通に結婚して普通の家庭を持つべきだ。」

と父親に言われてきたのだ。

父親の言う普通の家庭とは、妻と旦那と子どものことだということは幼いながらに感じとっていた。

これまで父親の期待に応え続けてきた。

自分の恋愛でこれを壊すのが怖かった。

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愛とは、 双葉るい @u__kon_08

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