第8話 トイカケ/空元気な様子の薫に理由を訊くが…

○カラオケボックス・室内・夜中

   #薫が歌い終わったところ(曲のアウトロだけが鳴るとか)

   #タンバリンの散漫なシャンシャンという音。


「ちょっと、やる気が見えない! もっと盛り上げて!」


   #やけくそ気味なタンバリンの音。


「(不自然に明るく)じゃあ次は何歌う?」

「それともデュエットとかしちゃう?」


   #パン、とつっこむようにタンバリンを鳴らす主人公。


「なによその顔。言いたいことがあるなら言えば?」

「……あ、言うなって言ったのあたしだっけ。」


   #パン、とつっこむようにタンバリンを鳴らす主人公。


「はいはい、さすがにちゃんと話さないとか。」

「いやー、いざ話そうとするとなんか急に身体がダルく……」


   #パン、とつっこむようにタンバリンを鳴らす主人公。

「わかった、わかったから! 耳元で鳴らさないでようるさいなー。」

「あのね、ケンカしたの。」

「誰って、お母さんと。」


「ほら、マッサージしてあげたいって話したじゃない。」

「うん、やってあげてたのよ、あれを。」

「最初は調子よかったのよ。」


「お母さんも気持ちいい~って言って。」

「あ、ヘンな意味じゃないわよ。」


   #パン、とつっこむようにタンバリンを鳴らす主人公。


「はいはい、マジメに話します。」

「……でも、途中から険悪なムードになって。でもマッサージは続けてたわけ。」

「まぁそうしたら、指に力が入るじゃない? でこう、ついグッと……」


「《それはダメだろう》って何よその言い方! あんたはどっちの味方!?」

「……え? ケンカした理由? それは……ちょっとしたことよ。」

「もう、それはいいでしょ!」


「とにかくあたし、家出することにした!」

「って言っても今日だけ。さすがに本当に家出出来るほどお金ないし。」

「けど、1日限定だからこそ思いっきり心配させてやるんだから!」


「あ、止めても無駄よ。やるっていったら、絶対にやるんだから!」


   #シャン、とタンバリンの音。

   #デンモクをいじる、ピピピという音。


「え? え? どうしたの? 急にリモコンいじりだして……」

「まさか……付き合ってくれるの? 朝まで?」


   #シャン、とタンバリンの音。


薫「……!」


   #バチン! と主人公の肩を叩く音。


「分かってるじゃない! さっすがあたしの自慢の彼氏!」

「よーし、それじゃオールよオール!」



《第9話へ続く》


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『ASMRボイスドラマ アマガミ Vol.5 棚町薫編』(CV・佐藤利奈、CV・門脇舞以、CV・今野宏美、CV・阿澄佳奈)

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