「刹那の崖」と「星屑の海」
まぁじんこぉる
「刹那の崖」と「星屑の海」
宇宙に旅立つ君へ
第01話:軌道エレベーターが拓(ひら)く未来
そんな最も暗いと形容されるにふさわしい静寂と暗闇が覆う午前4時。その支配のくびきから解放を試みるかのようにニューラルグラスのアラームがけたたましい音楽データを
「ふわぁ、昨日はよく眠れなかったなぁ」
今日は天気がよさそうね。澪はニューラルグラスが脳内に送るニュースや天気予報を聞き流しながら大きな
「うーん、気持ちがいい」
寸秒の時を
小学生の頃、社会見学でみた宇宙船プロカタボリィが忘れられず、宇宙船に関わる仕事がしたくて
そんな
「いよいよ、今日という日が来たのね」
西暦2067年、日本・インドネシア両政府と日本有数のコングロマリットによって建築された、人類の夢、軌道エレベーター。それは大気圏を貫き、宇宙の虚空に浮かぶ宇宙港まで続く巨大なエレベーター。
この軌道エレベーターは、宇宙港から重力の影響を受けず宇宙船を出発できるようにしたばかりか、地球へ帰還するおり、大気圏へ再突入する際に発生する高熱の問題さえ解決して見せた。
そして、この宇宙港によって、今まで重力のくびきから逃れるため使っていた大量のエネルギーを宇宙航行用のエネルギーに転用することが可能になり、大気圏再突入時の耐熱装甲を考えずに軽量化することが可能になったのだ。まさに宇宙開発の可能性を大幅に押し広げた建造物であり、人類に恒星間宇宙航行を夢見る事を可能にした建造物であった。
そして、今日、その宇宙港から恒星間宇宙航行用に設計された初めての宇宙船アナクティシが、太陽系からもっとも近い恒星系、アルファケンタウリの航路調査に旅立つ。
「こんなことしたって、届くわけないのにね」
今日が
今日の日の出は午前5時42分、ここからオレレビーチまでスカイカーで30分、もう間に合う気がしない。そう考えて慌てて鏡の前にすわり、髪をとかしはじめた
「さすがにシャワーくらいは浴びていかないとまずいかな。でも、
「え、まさか」
セットアップのハイウエスト タイトスカートのチャックが閉まらない。いやいやと
この日のために、一流アスリート並みの食事制限とダイエットを必死にしてきたのに、1週間前は問題なく入ったのに、どうして? どうして?
「もう知らない!
「ははは、もう知らない! こうなったら、もうどうにでもなれだ!」
「約束の時間に間に合わせるより、もっと大切なものがこの世界にはあるのだ!」
と自分勝手な決意を胸に、シャワールームへと向かうのであった。
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