第21話:帰るべきものと帰らざるものと
一樹が目を覚ますと、そこには気持ち悪いくらい白々しいプレーンな天井が広がっていた。
「ここは、どこだ」
思わず独白する一樹であったが、答えてくれる人などいるわけがない。そのことに思いが至ると一樹は思わず苦笑する。しかし、ここは明らかに宇宙船ソフィアの船内ではない。そこにはむき出しにされたパイプもなければ、計器類も見当たらない。
「そうか、これが死後の世界というヤツか。果たして俺は天国とやらに行けたのであろうか? 悪いことをした記憶と言えば、
「あら、それはありがとう。一樹さん」
一樹の独り言に返答する聞きなれた声、
「か、一樹、おはよう」
そこまで言うと
「え、なんで
一樹はそう言って慌てて辺りを見回すと、そこには違和感だらけの光景が広がっていた。カーテンに囲われたベッド、目の前で椅子に座っている
「ちょっと待ってくれ、ここはどこなんだ? これはどういうことなんだ?
血相を変えて尋ねる一樹に対し、
「ここは地球さ、一樹。
「ちょっとまってくれ、
一樹は興奮してベッドから起き上がり
「大丈夫、一樹。君の体はクローンかもしれないが、魂はオリジナルの一樹に間違いない。俺たちは、4光年先の宇宙から君の魂だけ地球に戻し、クローンに魂を宿したのさ」
「クローンに魂を宿す? どうやって?」
そう言いかけた一樹は、思わず両手を
「ま、まさか、量子テレポーテーション?」
一樹のこの言葉に
「そう、その通り。しかし、4光年も離れていれば、人体そのものを量子テレポーテーションすることは不可能だ。だから
「確かに一樹が指摘した通り、クローン技術は脳の情報を完全にコピーすることはできても、人間そのものを再現することはできない。つまり脳の記憶にあることをトレースすることはできても、新しく創造をしたり、応用したりすることはできない。それがクローンの限界だ」
「
「それが証拠に、一樹には宇宙船ソフィアで起きた出来事の記憶があるだろ?
そう笑顔でいう
「
一樹のこの言葉を聞くと、
その後、
「うわぁぁぁぁぁぁぁ」
その事実に気がついた一樹は絶望のあまり大きな声をあげる。つまり
そして
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます