〜〜第11話のおまけ〜〜
【マジュラ】とは、対象者の状態を数値化し、その者が持つ能力を可視化させることのできる便利な魔導機である。対象者には不可視の術式が皮膚に刻印され、その刻印は対象者の魔素を動力に可動・維持される。尚、刻印は魔導機本体からの操作でしか消すことができない。
『ですから、本体がどこにもない以上、私から離れることなんてできないのです!』
トイレから戻ってきてからようやくナビィの長い長い説明が終わりを迎えた。
『質問はありますか?』
「ないわよ。あるわけないでしょ。もう分かったわよ……」
耳を塞いでも聞こえてくる声というのは実に厄介だった。今日そのことを十二分に理解し、私は下手なことは思うまいと心に誓う。
しかしーーー。
(もう今日は散々だわ……)
『それはお気の毒に』
それは中々上手くいかなかった。
(ああ、ったく!誰のせいだと思ってんのよ!)
『おやおや、だいぶ気が立っている御様子ですね』(しまった!)
『なにか小粋なトークでもしましょうか?とは言っても私の情報源はあなたと
「やめて、本当にやめて」
私は声に出して止めに入る。
「話さなくていいわよ。全然、必要としてないから。強いて言うなら、私は静寂を所望してるの。分かって!お願い!」
『なるほど。静寂ですか。そうですか』
しかし、それを素直に聞き入れてくれる相手ではなかった。
『ふむ。私は騒がしい方が好きですね。なにせ私のいるところってほぼ無音ですからね。音がないと逆に落ち着かないっていうか。そういう時、ありません?あ、そうだ。あなたの前世にはオーディオコンポというのがあったそうですね。今あなたの記憶を再現した部屋に住んでいるのですが、その機械はどこですか?まさか買ってなかったのですか?いやあ、残念ですねほんと。一度聞いてみたかったなあ〜〜』
「知らないわよ、もおーーー!」
少し心に思っただけでこの始末である。既に私は疲弊し切っていた。
「ナビィのいる空間なんてこの際どうでもいいわよ。とにかく、一人になる時間をちょうだい……。どうやったら頭に声が聞こえなくなるのよ。それを教えて。私を助けて……」
『これは仕方ありませんね』
私はナビィと互いの距離の取り方を決めていくのだった。
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