女子力高めの遠野くんと男子感強めの近藤さん
Lemon
プロローグ あの人が/あいつが
あの人は、すごく……すごく……
あの人は、野球部に入ってて、学年で一番運動ができる。
成績はお世辞にもいいとは言えないけど、テスト期間に必死に頑張ってる姿が、ほんとに見てていいなって思う。
あいつは、すごく……すごく……
あいつは、美術部で絵を描いたり、図書室で読書をしたりするのが好きで、学年で一番勉強ができる。
あんまり目立たないけど、あいつは、この地球上の誰よりも優しい心を持っていると、自分は確信している。
彼女は……
彼は……
めちゃめちゃかっこいい女の子だ。
めちゃめちゃ可愛い男の子だ。
あのウェーブしたオレンジ色のロングヘアの中に入った黄色のメッシュがたまらない。
あのダークピンクの髪の毛に黒縁のまるメガネをかけた優しい雰囲気がたまらない。
制服の黄色いカーディガンと、青いスカートがとても似合っている。
制服のグレーのベストと黒いズボンが雰囲気にマッチしすぎている。
ギャルっぽい見た目をしているが、決してそんなことはなく、
少し陰気な見た目をしているが、決してそんなことはなく、
とても優しい心をもっていて、気遣いまで完璧なところが非常に魅力的。
現在
僕は
アタシは
絶賛片思い中だ。
「ねぇねぇ遠野くん、今日から部活で描く絵のモデルやってくれないかな?」
「ぅえ? あ、あ、ぼ、僕なんかでよければ……えっと、僕も絵、完成させなきゃいけなくて、動いちゃうんだけど……か、描きながらでいいか、な?」
「全然オーケーだよ! なんなら題名も絵を『描く人』とかにできそうだし。本当にありがとう!」
「い、いいい、いいえ!」
美術部の同期の女の子に話しかけられて、僕はひどく動揺した。
人と話すのは難しい。
僕はいつもこうだ。
誰かと喋るってなったら、親しい人じゃないとうまく言葉が出てこないし、声が上擦ってしまう。
「おい近藤! 昼休み野球するか?」
「おう! え、でも昼休みじゃ時間足りなくねぇか?」
「確かに近藤の言う通りだわ」
「じゃあ放課後! あそこの川の河川敷でいいか?」
「りょーかい!」
クラスの野球少年たちに話しかけられて、アタシはいつも通り応答した。
人と話すのは楽しい。けど。
アタシはいつもこうだ。
口調はよろしいとは言えないし、声もガラが悪いから初対面の人にはビビられる。
「ねぇ遠野くん」
「なぁ近藤」
「君って、本当に女子力高いよね!」
「お前さ、マジ男子力の塊だよな?」
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