第4話 叱られるうちが華 side王子

「ふ、ふははははは!!」


 皆のもの、跪け! 俺は王子で一番偉いから、何をしても許されるんだ!

 現にダメだろう、やっちゃダメだと思いながらもやってしまった時に、何故か何も注意されなかったんだ。

 あのいけすかない女だってあとちょっと婚約破棄ってところまでやっともってきた。


 ジュリアは俺のことをなんでもすごいと言って褒めてくれる。

頭が固い側近の文句を言った時だってジュリアは一緒に理解してくれた。


 ふと視線を感じて意識を周りに向けると、周りの人たちがおかしな、奇異なものでも見るかのような目で見ていた。


 ・・・・そうだ。今はお忍びで王都街に出かけているんだった。ふん。それに免じて奇異な目を向けてくるやつらの不敬は見逃してやる。王子としてだったら即打首にしてるところだったぞ。俺に感謝しろ! ふはははは!!


 心の中で自分を褒め称える。なんて気分がいいんだ。


 いろんな店を覗きながら歩いていると、今回のお忍びの目的地が近づいてきた。人通りが減ってきて、怪しげな外観の店がちらほらと並んでいる道に入る。しばらく進むとこのひっそりとした薄暗い通りには似つかわしくない、落ち着いた洒落た感じの店が見えてきた。俺が寄ってみたかった今回の目的地、娼館だ。

 今回の目的は娼館でとびきり美人な胸のでかい女を抱くことだ。この俺様に抱いてもらえるんだ、光栄なことだろう? ふはははは!!


 早速入り口のドアを開ける。イイ女はいるだろうか?


 ドアを開けると店主らしき人が、優雅な落ち着きある足取りでニコニコと愛想の良い笑顔を浮かべながらこちらに歩いてきた。


「初めてでしょうか?お客様。ようこそいらっしゃいました。"lily paradise"へ」


「あ、ああ。初めてだ。どれかおすすめの女はいるか?」


「おやおや。早急ですね。そんなに焦らなくとも最高のもてなしをご用意しますよ」


「期待してるぞ」


「はい。まずはこの彼女たちの一覧を参考にしてください。お好みはありますか?」


「とびきりの美人で胸のでかい女がいいな」


「ではこの子がおすすめですね。どうしますか? ちなみに人気の子なので10万ニマいただきます」


「高いな・・・・いやでもこのルックスなら相応の金額・・・ーーーわかった。こいつにしよう」


「・・・ありがとうございます。ではお部屋にご案内します。準備が出来次第、彼女がお部屋に参りますのでそれまでお待ちください」


 ・・・さっきの笑顔と違ってこの時の店主の笑顔に俺は少し背筋がゾクッとした。なんだったんだ?



 そのあと指名した女の体は極上だった。彼女も俺に抱かれたという栄光を得られたのだ、感謝するといい!

 はーはっはっはっ!!



♢ ♢ ♢ ♢



 娼館に行った日の翌日、俺は父上と母上に呼び出されていた。

 謁見室に入ると、なんだかピリピリとした雰囲気が漂っていた。


「父上、母上。ただいま参りました」


「・・・・・ローエン。私が何が言いたいか分かるか?」


 父上が尋ねてくる。母上は黙って様子を見ている。


「わかりません。何ですか?」


「・・・・いい加減、お前の王子としての評判を下げる行動は控えよ。何度言えば理解してくれるのだ?」


「私は何もしてませんよ。していたとしても、あのいつも苦言を呈してくる側近がなんとかしてくれるはずです」


「それは本気で言っているのか?」


「そうですが」


「・・・・・・・・分かった。話は終わりだ。戻っていいぞ」


 長い沈黙の後、父上が急に話を切り上げた。いつもならもっとくどくど言ってくるのに、なんなんだ。

 でも早く話が終わってよかった。この時間のこの空気はなんか嫌なんだ。



 ーーーこの時は楽観的に考えていたが、この後後悔することになるとはまだこの時の俺は考えてもいなかった。





ストック無くなったんでしばらく更新できないと思います。申し訳ないです、、、(´・ω・`)

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