第3話 分からないことが分からない


 ー 私立学園 翌日 放課後 保健室 ー


 「おう、先生せんこーちょっとツラ貸しな」

 「別に私たち以外いないしココでいいだろ?」

 「胃袋空腹連合は解散だ。代わりにあんたについていく!!」

 「リーダーの頼みだ。勿論わっちからも」

 「先生、亜里牙塔値ありがとうね

 「シユの天国に新たな住人が来ました」

 「ええと、君たちも保健室登校を?」

 「俺を倒した奇怪な術が知りたいのと、

 熱血教師の真似がどこまで続くか見たくなった」 

 「じゃあアレは合気道だ。

 相手の勢いをさらに増してバランスを崩壊させる技術。

 これで満足したか?」

 「違う!俺達を鍛えてくれと言ってるんだ!!」

 

 別にそんなに焦らなくてもいいのにな。


 「いいかい?保健室登校といっても勉強はするしテストもある。

 なにより・・・・現状では保健室登校は正解と呼べる時代じゃない。

 君達が卒業するまでに改善されるかは私にも分からないしな。

 そんなギャンブルを未来ある若者にさせたくない」

 「つまり学歴に傷がつくと?」

 「そういうことだ。流石リーダー賢いな」

 「ここまで頭が切れるのに何で保健室でくすぶってるんだ?

 あんたならいい教師に成れただろうに」


 この子は頭が切れるが故敵も多いだろうな。疑り深いというか。


 「人には知られちゃ心が折れることだってある。

 大人も子供も例外なくな。

 しいて言うならば、

 教師から見捨てられ登校拒否寸前の生徒を救うことができるから。

 担任といっても授業中全部見れるわけじゃない。

 教科によって先生も変わるし、その点保健室なら付きっきりだ」

 「・・・・生徒を信じた結果、足元をすくわれるぞ?」

 「その時は私の実力が低かっただけだ。あははははは」


 話し合いも同等の実力がないと地位の圧力で開催自体できないからな。

 これは先生と生徒の戦争だから。


 「じゃあ俺の悩みを聞いてくれるか?」

 「り、リーダー!確かに手術の恩義はあるけど!!」

 「大丈夫だ。先生せんこー如きでは解決しないから」

 「だろうな。だが話せば楽になることだってある」

 

 「俺には分からないんだ。大人たちが私利私欲で生徒を判別するのが。

 テストの点っていう結果ならわかる。

 だが授業態度とかクラス替えとかそういった俺達ではどうしようもないことを

 決める大人が許せない。そういうシステムだってことも分かってる。

 このいきどおりのなさを誰にぶつけていいか分からない。

 おかしな話だが”分からないことが分からない”んだ」


 「わっちもリーダーと入学後クラスが離れ離れになった。

 別に放課後に会えばいいだろ?と担任は言った。

 それに反発したリーダーが・・・。

 わっちの事を思って行動したリーダーが罰を受けた。

 これっておかしいと思う」


 「身の回りの全てが怖くてお手洗いに通う体質。

 授業中もそうだからサボりと思われた。

 本当は違うのに。それを庇ってくれたのが2人。

 先生が治してくれたから私は大丈夫。でも2人が心配」


 三者三様の悩み。

 リーダーは自分たちを正当な評価で見てくれる先生を。

 側近は仲のいい子とクラスが別れたことを。

 手術した子は助けてくれた2人が幸せになることを願っているか。

 全員誰かの事を思っての悩み。

 共通の敵を倒して解決!!!みたいな単純な話じゃない。


 「で、悩みを言ったわけだが解決できるのか?」

 「事情は分かった。君たちが良ければだが保健室登校を許可する。

 私は実力でしか生徒を評価しないし、

 クラス替えもない退屈な学園生活、

 そしてサボりや脱落を許さない悪魔のような教師だ」

 「いいのか?俺達みたいな落ちこぼれを受け持ったら先生せんこー

 評価が下がるぞ?つまり給料に影響が出るはずだ」

 「もともと医者で食えてたからな~。

 教師目指したのもドラマの影響だし」

 「片手間で教員免許取ったのか」引き気味

 「もともと医者の才能あったけど、

 本格的に目指したのは医療ドラマブームからだし」

 「り、リーダー。この人ミーハーだよ!学園ドラマに飽きたら捨てられる!」

 「嶽武瑠((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル

 

 「だがあの戦闘センスはなんだ?体を使うことはドラマで見ただけでは難しい」

 「ああそれなら私宇宙人だから。

 惑星1の才能を持った医者のクローン。つまりはコピー人間。

 元となったオリジナルは別の惑星から来た宇宙人なメイドさんと

 熾烈な争いをしていたからな。あははははは」

 「ドラマじゃなくてSF畑の人だったか。すまない」

 「り、リーダー少なくとも宇宙人は2種類観測されたことに!!」

 「冥土めいど


 「そういうことだ。ニンジャ国の倫理観とは違う生き物だ。

 君達の青春を天秤にかけていいものかよく考えるように」




 嘘次回予告


 シユ  「保健室の権威回復を図るため部活を作ります!!

    当然シユが部長です!発案者なので拒否権は認めません!!」

 側近  「ど、どうするリーダー」

 リーダー「はぁ、やるしかあるまい。別に俺達に損がある訳でもあるまい」

 当て字 「頑刃流がんばる!!」

 先生  「顧問は私だな!!あはははは」


 次回 ”結成!スポーツチャンバラ同好会!!”

 


 ー 学園長室 ー


 「厄介な出来損ないどもが事件を起こさない日が連続した。

 いい傾向ではあるが、ちと遅いな。

 次問題を起こせば停学。もしくは退学に追い込める。クックック」

 「それがですね学園長。彼女らは例の保健室勤務の新入りに」

 「構わん、捨て置け。権力も地位もない大人に何ができる?

 それより学園に多額の入学金を支払った鬼百合家スポンサー

 ご機嫌取りが重要だ。

 保健室登校などバレたら教頭である貴様の立場も怪しいものになる」

 「は、はい!それは十二分じゅうにぶんに把握しております」あせあせ


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