六代目山口組が本気で仕掛ける[頂上作戦]の行方

司忍

第1話 六代目山口組が本気で仕掛ける[頂上作戦]の行方

神奈川県横浜市にある指定暴力団[稲川会]の拠点[稲川会館]は、物々しい雰囲気に包まれていた。昨年12月20日の午前9時過ぎのことである。組員らはざっと60~70人。十数人の神奈川県警、そして兵庫県警の捜査員らが周囲を警戒し、上空にはヘリも飛んでいる。


午前10時20分頃、到着した白いワンボックスの後部座席から一人の男が姿を現した。指定暴力団[六代目山口組]の高山若頭である。その約1時間後、[挟友会]の寺岡修会長も稲川会館へと入っていった。


この日、高山若頭と寺岡会長は30分ほど二人で話したという。12時20分頃に寺岡会長は、しばらくしてから高山若頭が稲川会館を後にした。[仲介役]となった稲川会の内堀和也会長にこの日の会の麺旨について話を聞くと、こう答えた。


[道を外れたことをしたことの謝罪と組織の解散と、本人はおとなしくカタギとして生きていかせてもらいたい、ということだよ]


山口組分裂抗争は今年8月に9年目を迎えるが、司忍組長が率いる六代目山口組は、攻撃を強めている。昨年6月には井上組長の自宅に17発の銃弾が打ち込まれた。実行犯は六代目山口組系の組員だった。


[今年中に分裂抗争が終わる可能性は十分あると思います。終わる方法は2つあります。神戸山口組が解散するか、六代目山口組が相手を潰しにかかるかです。


池田組襲撃事件のようなレベルではなく、トップのタマ(命)を取るような事件が起きてもおかしくないでしょう。


六代目山口組が仕掛ける[頂上作戦]は、[終結まで10年はかかる]と言われた分裂抗争に、ついに終止符を打つかもしれない。

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