始まった非日常

「面白そうだから付いてきました。」

 彼女はそう言ってアルスケットの部屋にやって来た。そしてついつい流されてしまい、居着かせてしまった。もしもコレが誰かにバレるようなことがあれば、アルスケットがどうなるか。想像に難くないことである。


(絶対にこれはバレないようにしなくては………)


この組織は何かと鋭いが、なんとか出来るだろうか……と彼女がブツブツと呟いていると、問題の花が口を挟んだ。


「何かお手伝い出来ることはありますか〜?なんでもしますよ〜?」

「なんでもって言ったか?なら此処から出てって欲しいんだが…」

「それは無理ですね〜」

「はぁ…………」


どうしようか。このままでは私的にもよろしくない。いっその事バレないように隠れてはくれないだろうか……


「えーと…此処から見えなくなることは可能か?隠れるだとかなんだとか…」

「わっかりました〜!」


さっくりと軽い明るく返事が返って来た。


(本当に大丈夫だろうか…)

「じゃあこの可愛い四角形ロボットちゃんの身体の中に意識突っ込みますね〜」

「やめろ」

「大丈夫ですよ〜、本人が消え去っちゃうわけではないですから」

「いいからやめろ」

「しょうがないですね〜…じゃあこうしますね〜」


そういうと、小さな花型のアクセサリを差し出してきた。


「これなら許してくれるでしょう?そこから色々話しかけたりするようにしますから。いざという時は役に立ちますよ〜?それに疑われても新装備ってことで片付ければ良いですし。」

「そうか…わざわざありがとうな」

「感謝ありがとうございます♪」


ある程度神器の装備は自由だ。このくらいの大きさならば大丈夫だろう…あまり効果が大きいと色々言われるが。


「んじゃ、私は身を隠しますかね。」


そう言って少女は花の髪飾りの中に吸い込まれるように入っていった。


(本体がこっちに移行するのか!?)


そう思った矢先、脳内に「声」が入り込んだ。


『テステス〜聞こえていますか〜?私が貴方の脳内に語りかけてま〜っす!』

「はぁっ!?」

『あんま大きい声を出すと外に聞こえますよ〜?怪しがられてしまうんじゃないですか?』

「っ!」


その瞬間、廊下から足音が聞こえて来た。扉がノックされる。


「っは、はい!今出ます!」


扉を開けると、一人女性が立っていた。隣の部屋の同じ大鎌ファルクス


「大丈夫か?妙に大きな声で叫んでたが…」

「大丈夫ですよ。何も異常はありませんから……」

「そうか。何か異常があればすぐ報告しろよ。」

「はい、すみません…」


そうして、彼女は不思議そうな顔をしながら去っていった。いつまで隠し通せるのだろうか…


『危なかったですねー、バレたらどうなるんでしょうね?』

「考えさせないでくれ…」

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枯野の魔女とアイの花/Re-posting なめらか @nushimiya4

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