バレンタインの罠

飛馬 光

バレンタインの罠

2月14日バレンタインデー.

いつからその日がソワソワする日になったんだろう.


小さい頃はお母さんから美味しいチョコをもらって.

初めて女の子からもらったのは


んー中学生だっけ.

それから恋愛なんてものには全く縁のなかった俺だったけど


初めて君と付き合うようになって

とうとうその日がやってきた.


そう,バレンタイン!


どこぞのお菓子メーカーの策略だ!とか義理チョコ文化なんてやめようぜ!なんていう風潮もあったりするけど,俺はまぁ好きにしたらいいと思うタイプ.

そりゃ好きな人からもらえたら嬉しいけど,あげることやもらうことに無理があっちゃいけないよね.心から渡したかったら渡せばいいんだ,と思いつつ,やっぱり好きな人からはもらいたい!

そこは強調しておこう.


「2月14日って空いてる?」

「うん!」

君に聞かれて即答.


空いてますよもちろん.いや,君のためにあけますよ何があっても!


仕事が終わったらデートだ!と意気込んで.

いつもよりちょっとおしゃれな恰好をしてデートに臨む.


ちょっと美味しいご飯を食べて,いつも通りの帰り道.


どことなくソワソワしている彼女をぎゅっと抱きしめた.


「ヨウくん...」

「ん?」


来るか来るか??

チョコレートなんて知らないよ,みたいな顔をしながら彼女を見つめる.


「私ね,見せたいものがあるの.」


といってすっと差し出されたのは一通の紙.


おぉ,ラブレターか!?

とその時は能天気な俺だった...


開くとなんとそこには留学決定の文字が...


そ,そういえば海外の話をしてたな...頭の中が真っ暗になった.

「お,おめでとう..」

「4月から行ってくるね!いつも応援ありがとう!!」


じゃ!と手を振って彼女は帰っていった.


あれ,チョコレートは...?


4月からの新生活に向けて着々と準備を進め,しっかり海外に飛び立っていった彼女...

あーいつになったら彼女からチョコレートがもらえるんだろう...


やっぱりチョコレート文化なんて嫌いだっ!!!

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バレンタインの罠 飛馬 光 @AsumaHikaru

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