終わりへの砂糖菓子
ミンイチ
第1話
目が覚めると、少し青みがかった白で囲まれた部屋にいた。
部屋には数十人の顔も名前も知らない人がいて、部屋の中心には上に何かが置いてある黒い机が置いてある。
机の上には、編み込まれて作られたカゴに入った人数分の砂糖菓子、それと、『これを食べるな』と書かれた紙が置いてあった。
バカなのかはわからないが、部屋にいたうちの1人がその砂糖菓子を食べた。
すると、その人の首より上のところが消えた。
残った体からは血が吹き出し、力なく倒れ、数分後に吹き出した血とともに突然消えた。
それを見た他の人は、食べようとしなかった。
最初のうちは
この部屋にはその机とその上にあるもの以外には何もなく、トイレも、出口も、他の食べ物もない。
しかも、このよくわからない部屋にいる間もトイレには行きたくなるし、喉も乾くし腹も減る。
他の人と話すことで娯楽になりうるけれど、話のネタもすぐに尽きてしまう。
目が覚めてから数時間後、何人かがお菓子を食べた。
彼らは、トイレに行きたくなり、しかし漏らしたくはないという考えから、お菓子を食べたようだ。
お菓子を食べた人は例外なく首が消えた。
漏らしたくないと言った人の体は、そう考える頭が消えたことで、血が噴き出すと同時に垂れ流しになった。
それを見て、一部の我慢していた人も諦めたように漏らすようになった。
幸いなことに、漏らしたとしてもお菓子を食べた人が消えるように排泄物は消えた。
それから数時間後、お菓子を食べようとしていた人が、机の上にある紙の文字が変わっているのに気がついた。
『誰も帰れない ただ還るのみ』
それを見たうちの数人がお菓子を食べ消えていった。
さらに数時間後、何人かの人が他の人を襲った。
どうせ死んでしまうなら、自分がしたいことをしてから死にたいと思って行動したらしい。
襲われた側は抵抗したが、押し倒されてしまった。
もうダメだろうと思っていた時に、襲っていた側の悲鳴が聞こえた。
そして襲われていたはずの現場を見ると、お菓子を食べた時の首になるように、しかし首ではなく四肢がなくなっている襲っていた側の人がいた。
なくなった四肢の付け根からは血が吹き出し続けている。
彼らは泣きながら『助けてくれ』『死にたくない』と言っていたが、血は止まらず、彼らも静かになった。
彼らの体はお菓子を食べた時よりも長く残り、そして消えた。
そして、何人もの人が絶望したり、諦めたりしながらお菓子を食べたりして消えていった。
残っているのは僕だけになった。
人が10人ほど減るごとに部屋は小さくなっていき、机の上の紙の言葉も変わっていった。
今では小学校の教室ほどの広さになり、紙には『おめでとう さようなら』と書かれている。
僕はもう水分不足で死んでしまいそうだ。
せめて、死ぬ前にあのお菓子を食べようと思った。
机の上のカゴの中にはたくさんの種類のお菓子があった。
僕はそれらを一気に口にかき込んだ。
僕が最後に感じたこと、それは『そのお菓子は甘かった』と言うことだ。
終わりへの砂糖菓子 ミンイチ @DoTK
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