第6話 兄の性根が腐っているのですよ
初めて魔法を使い、調子に乗りすぎて魔力切れを起こして地獄を見た俺は、魔力切れが治った後でメアと1つの約束をした。
それは、俺が魔法を使えることをまだ誰にも公表しないと言うことだ。
理由は異世界ならではで、俺の才能は群を抜いており、脅威に思われて早い内に芽を摘んでおこうと暗殺者を送られるかもしれないかららしい。
それも兄達から。
ほんとこの世界って物騒だよなぁ……家族で殺し合いがよくあるとかどうなってんだよ。
元日本人の俺からしたらありえない感覚だよほんと。
まぁそんな異世界の現実に戦々恐々している俺だが、今日も今日とて魔法練習施設で魔法の練習をしている。
前回一先ず、特異属性や派生属性以外の基本6属性はどれも最高水準で使えることが分かったので、今日は時間や空間、魅了と言った特異属性や、雷や氷などの派生属性が使えるか試してみようと思う。
確か
雷はオタクなら一度は憧れるであろう属性。
勿論俺も前世で妄想済みだ!
「我が手に稲妻を―――【雷電】」
バチバチッッ!!
取り敢えずゲームの頃にあった魔法を想像して発動してみたが、今まで試したどの属性よりも魔力変換率が良かった。
そもそも魔力変換率は、使用者の属性相性を指しているもので、同じ量の魔力でどれだけその属性に変換出来るかによって相性が決まる。
因みに俺は基本6属性は、全て感覚だが9割以上は変換に成功している。
これはどれも相性がとてもいいと呼ばれる変換率だ。
しかしこの雷の変換率は、ほぼ10割に近い。
ゲームのジンが雷魔法を多用していた理由が分かった気がする。
「まぁ雷は攻撃性が高すぎてあんまり使えないんだけどね」
全く!
使えない魔法の適性が高くてどうするんだよな。
あ、悪役だから人の事考えなくて良かったのか。
それなら俺もどうせ悪役なんだし、その内絶対に裏の人間とも戦うだろうから一撃必殺も何種類か習得しておいた方が良いかもしれん。
一先ずはメアと同等の力を得ることを目標に頑張ろう。
今のままでは俺はメアに守られてばかりになってしまうので、早い内に俺がメアを守れるまでに強くなりたい。
そしたら……メアも俺を好きになってくれるかもしれないじゃん?
たとえそれが宝くじの1等が当たる確率よりも遥かに低かったとしてもさ。
男は少しでもチャンスがあると頑張る馬鹿なんだよ。
俺が将来のメアとの甘々な生活を思い浮かべながら必死に雷魔法の練習をしていると、不意に自然の魔力が大きく乱れた。
いや、魔力が
あー遂に来たかぁ……まぁ設定集では週に4回位は来るって書いてあったしね。
ぐああああああめんどくせぇええええええ!!
わざわざ俺を探して来るなよクソサイコパスがよおおおおおお!!
俺が心の中で絶叫していると、クソサイコパスである我が兄―――ベン・ディヴァインソードが入ってきた。
ベン・ディヴァインソードは外見こそ優男系のイケメンだが、兎に角性根が腐っており、自身よりも弱いものを見つけては徹底的に壊す事に快楽を覚える頭のおかしい奴だ。
そのウザいくらいに整った顔は、意地悪い笑みを溢れんばかりに浮かべている。
「おいおいジン〜とうとう剣術諦めて薄汚く誇りのない魔法に乗り換えたのか〜? まぁ剣術の才能のない落ちこぼれだもんなぁ?」
はいその通りです。
剣術よりも柔軟で臨機応変に対応でき、尚且闘気なんかよりもよっぽど使い勝手の良い魔法に乗り換えました。
もう魔法の魅力にメロメロです。
―――なんて勿論言えるわけもなく、そもそも俺の才能がバレてはいけないので、取り敢えず俺が想像するジンの対応を真似てみる。
「五月蝿い! そう言っていられるのも今の内だ! そもそも俺は剣術を諦めてなどいない!」
嘘です。
もう剣術なんてクソくらえくらいに思ってました。
「はっ! 毎回口だけは達者だな? それだけ言うならまた戦ってみるか? まぁどうせ俺の圧勝だろうがなぁ!」
そう言うベンの顔は先程よりも笑みを深めているが、あんたもう10歳だろ。
普通に考えて5歳児が10歳児に勝てるわけ無いだろうが馬鹿め!
そんな事も分からんのか、このざーこざーこ!!
俺は一頻り心の中で(ココ重要)ベンを煽り倒して冷静になった後で、この戦いを受けるメリットとデメリットを考える。
取り敢えずジンの性格からして間違いなく受けるだろう。
だからそもそも受けないという選択肢はない。
メリットはベンの実力と俺の実力の差を図れること。
デメリットは俺の魔法の実力がバレるかもしれないと言うことだが……まぁ大丈夫か。
どうせ魔法に気付かんだろコイツ。
「やってやらあああああああ!! 覚悟してろよ! 絶対に勝ってやる!!」
「うるせぇ!!」
あっ興奮しすぎた。
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