第4話 魔法を使いますよ
俺の体の中にある魔力が、メアの魔力に触発されて動き出す。
そして俺の意志によって生まれた時から使っていたかの様に自由自在に動き回る。
なるほど……これが魔力か……。
何故か分からないけどめちゃくちゃ気持ちいい。
何だろう、まるで今まで詰まっていた何かが無くなったかのような爽快感……このままどんな事でも出来そうだ。
体外に放出する事は出来ないだろうか?
俺は試しに現在操れる最大の魔力量――全魔力量の約100分の1――を掌に集めてみる。
するとやはり世界最高の才能は伊達ではなく、すんなり集めることが出来た。
後は体外に魔法として放出するだけだ。
「我が手に魔力の弾を―――【魔力弾】」
俺が手を的に丁度良さそうな巨木に向けて誰でも使える無属性魔法の1つである【魔力弾】を唱えると、半透明の銃の弾丸の様な弾がギリギリ目視できるほどの速度で飛んでいく。
そして―――うん、巨木に拳大の穴が空いちゃった。
俺はギギギ……と錆びたロボットのように首を動かして、無表情ながら言葉を失っているメアに言う。
「…………どうしよう……」
きっと今の俺の瞳は涙でウルウルになっているはずだ。
だって視界がぼやぼやしてるもん。
「……ジン様、1つお聞きしたいのですが」
「……良いよ何でも聞いて」
「……今日初めて魔法を使用しましたよね?」
「勿論。何なら魔力を感じたのもついさっきだぞ」
俺が涙目の状態で少しドヤ顔をすると、メアが大きなため息を付いて額を押さえた。
その姿は大変お美しい。
今日からメアのため息は『
「ジン様……取り敢えず魔法を使うのは禁止です。木は私の魔法でなんとかしますので、何処かで座っていてください」
「……うん、すまない」
俺は推しであるメアに余計な仕事を増やしてしまった事に肩を落とす。
だがそれと同時に興奮が俺の体を襲っていた。
マジかよ……俺が魔法使えたぞ。
人生で初めて魔法使うけど、才能のお陰で思ったよりも簡単だったな。
ほんと、ジンが魔法使いの名家であるマジックディアデム家に産まれていたら、どれだけ家族から愛されたことか。
だって魔法の潜在能力はぶっちぎりで世界最高なんだし。
俺がそんな事を考えながら魔力を全身隅々まで行き渡らせる練習をしていると、巨木の穴を塞いだメアが此方に戻ってきた。
「直してまいりました。そして、これからジン様には魔法訓練施設を使用して貰いたく思っているのですが、どうでしょうか」
「よし、今直ぐ行くか。これ以上物を壊してはいけないしな! さぁ行こう!」
そもそも俺にメアの意見を無視することなんて出来ない。
さながら飼い主とペットだな……って以外に良いかもと思ってしまっている俺をぶん殴りたい。
殴ったら痛いから絶対に殴らないけど。
と言うか何で魔法を蔑んでいる剣術名家のディヴァインソード家に魔法訓練施設なるものがあるんだろうな。
どうせ誰も使わないのに。
まぁ俺からしたら得でしか無いから別に何だって良いんだが。
魔法訓練施設は中庭からそこまで離れていなかったらしく、子供の俺が歩いて5分も掛からずに着いた。
道中に使用人から「落ちこぼれが一体魔法施設に何のようだ」と言った陰口を言われるが、別に
と言うか全て事実なのでもはや開き直ったとも言えるが。
だがメアはそうではなかったらしく、眉をひそめて俺に聞いてきた。
「使用人がジン様の陰口を叩くとは……クビにしてやりましょうか?」
「やめてやれよ……俺に堂々と悪口を言ってきたらクビにしていいからさ」
「……承知いたしました」
なんて言う事が僅か5分の間にあったのだが、俺は使用人たちにとって影の英雄ではないだろうか。
クビの危機を防いでやったんだからさ。
まぁ自業自得な所が多々あるが。
「ではここなら大丈夫なのでお好きなように使用して大丈夫です」
よし、大天使メア様の許可も出た事だし色々と試してみますか。
一先ず全属性の初級魔法から始めてみよう。
俺は再び意識を集中させて魔力を動かす。
一回魔法を使ったお陰で何となく感覚は覚えている。
えっと……ゲームで見た時の感じを意識して……
「我が手に炎を―――【創炎】」
詠唱を唱えると普通に成功した。
俺の掌の上でゆらゆらと燃えている。
こんなに簡単ならもう片方の手で何か別の魔法も使えるかもな。
今度は手から零れ落ちる水を意識して……
「我が手に水を―――【創水】」
又もやあっさりと成功。
想像した通り、手から水が零れ落ちていく。
……何かこれ程簡単出来たらどんどん他のをしてみたくなるな。
少し調子に乗った俺は、魔力切れを起こすまでずっと様々な魔法を使い続けた。
その後が大変しんどかったです。
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