第3話 魔力を感じてみますよ

 ——次の日——


「メアー居るー?」

「此処に居ますよジン様」

「どわっ!?」


 俺はいきなり背後に現れたメアに驚く。

 何なら驚きすぎてコケそうになった所をメアに支えてもらった。


「助かっ―――って全部メアのせいじゃん」

「気付かないジン様が悪いのです」


 無理に決まってんだろうが。

 こちとら5歳児やぞ。

 年齢217歳のメアが気配消したら分からないに決まってんだろうが!

 

 ……と言いたい所だが、メアなので赦す。

 逆にもっとああいったいたずらをして欲しいまでもある。

 何か仲がいいように感じるから。

 

 おっと、話が大分と言うか全く違う話に変わったな。

 とっとと本題に入ろう。


 俺はメアの方を向いて……ビタッと固まる。

 別に魔法をかけられただけでも、殺気を飛ばされているわけではないぞ?

 ただ……メアの立ち姿が最高に可愛かっただけだ。

 

「あ、ああああのさ!」


 テンパり過ぎて盛大に噛みまくった。

 うん、穴があったら入りたい。


「何ですかジン様? いつもの様に剣術の特訓ですか?」

「いや、今日から魔法の特訓に変更する」

「…………はい?」


 俺の言葉に余程驚いたのか、目をいつもより大きく開いて聞き返してきた。

 だがそれも仕方のない事だろう。

 ゲームではジンは剣術に拘っていたらしく、常に剣だけ振るっていたらしい。

 

 しかし、俺からしてみればそんな事は無意味だと断言出来る。

 確かに俺の家は王国で最も有名な剣術の名家だが……別に剣じゃなくても良くないか?

 何なら魔法で剣王の動きを完コピすれば良いんだからさ。


「俺には剣の才能が全くない事はメアも知っているだろ?」

「勿論です。何故この家に生まれてきたのかが不思議でなりません」

「おいそこまで言えとは言ってないぞ」


 確かに俺も何でコイツこの家に産まれたんだろうって思ったけどさ。

 もしこの体の意識がジンだったら間違いなく発狂してるぞ。


「コホンッ! 兎に角、俺は剣術で強くなるのを諦めて、他の力を試してみようと思ったの!」

「では取り敢えず中庭に移動しましょうか」

「うん、温度差凄くて俺困惑」


 と言う事で俺は剣術を諦めて魔法を練習することにした。






 中庭に移動した俺に、メアがそう言えばと言った感じで聞いてくる。


「ジン様は魔法について知っているのですか?」

「勿論。一応どんな属性があってどうやって魔力を感じるかも記憶済みだ」

「そうですか。それは凄いですね」

「!?」


 大天使メア様が微笑を浮かべて俺を褒めてくれる。


 バクバクバクバクバク!!


 心臓が痛いくらいに鼓動を刻む。

 それほど俺は感動に打ち震えていた。


 聞いたか皆!

 今メアが「凄いですね」って言ったぞ!

 あの滅多に褒めることがないメアが!

 推しが俺を褒めてくれ———ぐえっ。


「どうしたのですか、胸を押さえて」

「い、いや、だ、大丈夫。少しテンションが上がり過ぎただけ……」


 俺は嬉しさの余り呼吸するのも忘れていた様だ。

 通りで心臓がいつも以上にバクバクして苦しいなと思ったんだよ。

 まさか喜びで死にかけるとは……注意しなければ。


「よし、やるぞっ! それじゃあまずは魔力を感じたいんだけど……メア、俺に魔力流してくれない?」

「良いですが……ご自分で探せば良いのでは?」

「い、いやな……ふ、2人でやった方が早いだろ!?」


 しどろもどろになりながらも何とか最もらしい理由を挙げる。

 こんな所で俺の秘密の計画がバレるわけにはいかないのだ。


「それはそうなのですが……」


 釈然としないと言った様子のメアだが、俺が「早く早く」と急かすと、仕方がないと言った風に俺と手を繋いで———フォオオオオオオ!!


「では魔力を流していきますね」


 メアが少量の魔力を流し始める。


 第一ミッション——『推しと手を繋ぐ』クリア!!

 メアの手は子供の俺並みにすべすべで触り心地が良い。

 正直一生触っておきたいくらいだ。


 俺がメアの手に感動していると、メアの手を通して温かいものが流れてきた。 

 

「お、おお……何かメアから温かい何かが流れ込んでくるぞ……」

「それが魔力ですジン様」


 なるほど、これが魔力とか言うやつなのか。


 メアの手から流れてきた魔力は、俺の体の中心に移動していく。

 そして鳩尾の辺りで動きを止めた。

 どうやらここが魔力の溜まり場———魔力器官であるらしい。

 そこにはメアから流れてきた魔力の他に、膨大な量の魔力が凝縮されていた。

 やはりジンには魔法の才能があるらしく、既に魔力器官だけでなく、魔力が流れる回路———魔力回路すらも認識できる様になっている。


 これならすぐに魔力を動かせるかもしれない。


 俺は意識を集中させて魔力を動かした。

 


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