手を抜いてる

エリー.ファー

手を抜いてる

 声を届けに来たと、誰かが言う。

 その次の日に雨が降った。

 カエルたちは喜んでいたが、悲しそうにしている雨雲たちを見て、気遣う素振りをみせていた。

 晴れ渡るためには時間が必要だ。圧倒的であるためにも、知識と品格が必要だ。腑抜けであってはならない。考え方を改めて生きていく必要がある。私にも、あなたにも、ご機嫌な天気が必要なはずだ。

 絶対を失ってこそ手に入るものがある。

 嘘を積み重ねていてはたどり着けない境地がある。

 噂から始まって、絶えず聞こえる叫び声によって終わる物語があるはずだ。

 私は追い求めている。

 真実ではない。

 心の底から現実を欲しているのだ。

 考えなしではいけない。

 空腹が一番良くない。

 悲しみから始まってはならない。

 合わせ鏡のような哲学が最も優れていると定義するべきだ。

 私には、私の手の中の真実があり、あなたにもきっとある。

 哲学は使い魔だ。

 そして。

 使い物にはならない。

 いつか、大きな山を見つけた時に、その影に隠れた村を照らすための道具でしかないのだ。

 



 隕石から始まる物語が必要だ。

 打ち上げて殺し、また打ち上げては殺す。

 発想力が水の中に見える。

 錠剤を下さい。

 白い壁に黒い悩みを押し付けて欲しい。

 夢が落ちていく。

 闇が流れていく。

 月が転がっていく。

 ベルが聞こえる。

 思いが形になるべきだ。

 休憩を下さい。

 鬱蒼として日々よ。

 衝撃と球体をアルファベットで表現する手段を得ました。

 滅亡こそがこの世の理なのだ。

 草木に見える老人を失うように作戦をたてなさい。

 文字数から生まれる青いシャツが美しく見える宇宙にいたいのです。




「紫色の砂を頂けますでしょうか」

「構いませんよ。何キロ欲しいのですか」

「十キロです」

「何に使うのですか」

「教えられません」

「なるほど」

「何が、なるほどなのですか」

「いやいや、まぁ、なるほどですね」

「だから、何がなるほどなのですか」




「森の中に死体があった」

「知ってるよ」

「もぬけの殻だ」




「カメラを止めて下さい」

「嫌です。撮影は続行です」

「カメラを止めて下さい。お願いします」




「映画館で死体を見つけました」

「殺してくれ」

「殺人事件が最高だ」

「椅子の形にしてもらってもいいですか」

「ダメです」

「カーテンを燃やす」




「上履きを揚げ物に変える方法を教えて下さい」

「電車の音を聞かせて下さい」

「映画館と放火犯の間に机を置いてくれませんか」

「ハンドクリームで机を作って下さい」

「出血してますよ」

「出血していません」

「出血ですか」

「出血とは何ですか」




「陰りゆく思想」

「ストレートを投げないでくれませんか」

「カーブかフォークを投げて下さい。ホームランを打ちたいのです。お願いします」

「大喜利をやりたいんですけど、どうすればいいですか。とりあえず、何もかも真っ白にしたいんです」

「切羽詰まってる感じをもっと出した方がいいと思うよ」




「色気が欲しい」

「もっと色気が欲しい」

「カレーにバナナを入れて下さい」

「バナナ用の包丁を買って下さい」

「ショッピングモールを液体にして下さい」




「サラリーマンに近い天気になるといいですね」

「お母さんの名前で呼んでくるタイプのロケットが宇宙にいました」

「肉球の形をした鏡を屋上から落として下さい」

「面倒だから、返送してくれませんか」




「なんじゃこりゃ」

「なんでもいいってことじゃ」

「なんでもいいってわけじゃないと思うよ」

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