たまご小話
※時系列は本編初期、『朝食』の後あたりです。
※とりあえず、話の前後の繋がりはお気になさらず。。。。
―――――――――――――――――――――――――――
「目玉焼きの眷属が多いのは理解したが、他の卵料理にも亜種がいるのか?」
……亜種?
シュヴァルツ様に訊かれた私は少し考えて、
「ゆで卵なら、
「三種類か、それなら覚えやすいな」
「ええ、でも」
ほっと胸を撫で下ろすシュヴァルツ様の横で、私は棚の引き出しを探る。タン、タンと音を立てて調理台に並べたのは、八個の砂時計。中身の砂の量はそれぞれ違う。
「これは?」
「ゆで卵用砂時計です」
私は指を差して説明する。
「左から、1分刻みで5分~12分計です。これで『白身が崩れやすく黄身が液状』から『白身が固まり黄身が半熟』や『白身も黄身も完全に火が通った状態』など、お好み通りに茹で上げます」
「い……1分単位で仕上がりを細分化してるのか!?」
「すぐに冷水に浸さないと余熱で固さが変わるので、最後まで気が抜けませんね。あと、低めの温度で黄身より白身を柔らかく茹でる温泉卵もお出しできますよ」
ごく当たり前に要望に応えようとする私に、シュヴァルツ様はぼそりと、
「ミシェル……、お前は今までどれだけ気難しい人間相手に料理を作ってたんだ?」
……なんだかめちゃめちゃ憐れまれました。
そしてその後、暇な休日に全種類作って食べ比べしてみました。
(私は二個でお腹いっぱいになっちゃったけど)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。