間奏
テスト結果
先日の蜂騒動があった次の現代文の授業でテストは返却された。100点満点が2人いて、その生徒が最初に名前を呼ばれていた。
「烏丸くん! 誉川さん! 満点ですよ、よくがんばりましたね」
現代文の教師は教壇の前に来た2人の生徒を称えた。
「ホメ子さん、さすがだな」
烏丸も誉川を簡単に褒め称えた。
「それほどでもありません。蜂さんにはびっくりさせられましたけどね」
「いやいや、ホメ子さんまったくびびってなかったじゃないか?」
「そんなことありませんよ。内心びくびくだったんです。嘘じゃありません」
ふたりは、軽い会話を交わしながらお互いの席に戻っていった。残りの生徒のテストは出席番号順に返却されていった。
杉浦は、ほぼ白紙に近い状態の答案用紙を見つめて唖然としていた。
『仕方ないじゃない! 異能力使うと思いっ切りヘトヘトになるんだから、そっからテストなんて無理よ』
さらに彼女は、教師から軽く釘を刺されていた。
「今回のテストの点を見る限り、不正をしていたとは思いませんが、テスト中に席を離れるのは控えるように」
滝本は、明らかに下から数えた方が早いであろう点数を見て肩を落としていた。
『この世界の勉学のレベルは高過ぎる。僕はこれでもがんばった方だと思いたい』
夏木は、不満げに教師の顔をちらりと見てから自分の席についた。
『この低い点数でカンニングを疑うなんてどうかしてますわ。たしかに教科書を取り出したのは事実ですけど……』
谷地田は、納得いかない、というような表情をしながら答案用紙を見つめていた。
『このレベルの問題ならもっといい点を取れたはずだ……。誉川のことで完全に集中力を持っていかれてしまった。まったくなんて様だ』
彼は満点だった2人の生徒の席をちらりと見てから、ふいに疑問をもった。
『そういえば、カラスも満点だったのに誉川は褒めたりしなかったな。いつもの彼女ならあんなわかりやすい褒めどころを見逃すとは思えんが……?』
ちなみに今回の漢字テストは平均点が非常に高かったという……。
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