第15話 異能力者
私たちの住む世界を守ろうと戦ってくれている人たちは総じて「レジスタンス」と呼ばれていた。一方のエネルギー確保に動くやつらを「コンキスタドール」と呼んでいた。
私は普通の中学校生活を続けながら、陰でレジスタンスの訓練を受けるようになった。この訓練は、切り取られた空間、つまり時の止まった場所で行われる。つまり、ここでどれだけ訓練をしても元の世界に戻ったとき、時間は経過していないのだ。なので思ったより学生生活に支障をきたさなかった。
『こちらの時間は止まっているけど、生態経過時間は進んでいる。ようは、1年間ぶっ通しで訓練を受けると身体だけは、周りより1つ年上になってしまうってことだ。そこは理解しておいてね』
私が訓練を受け始めたときに注意されたことだ。時計も止まってしまうので体感でしか、経過時間はわからない。私はどれくらいの時間を異次元での力、仮に「異能力」としようか、この「異能力」の訓練に費やしたのだろう。
「コンキスタドールはどうして中学校なんか狙ったんだろう?」
「それはね、どうやら高いエネルギー量を持つのは主に中学生から大学生くらいの年齢の人らしいんだ。その人自体を連れ去るんじゃなくって、エネルギーだけ抜き取るみたいだね。これをされると死にはしないみたいだけど、意識が飛んで戻らなくなるみたいだよ」
そういえば、どこかの学校で突然何人もの生徒が意識を失ったような事件があったとニュースで見たような気がする。すでにコンキスタドールの魔の手はこちらに及んでいるんだ。
「灯ちゃんはとりあえず、普通に学校生活を送りながら、自分の周りでコンキスタドールが現れるような事態があれば戦ってほしい。もちろん、僕やレジスタンスのみんなも協力するから」
こうして私は人知れず、異次元世界の侵略者からみんなを守る「異能力者」となったのである。
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