第11話 ホメ子さん無双

 高校に入学すると、同じクラスに誉川さんはいました。きっと裏で除霊師の組織が手をまわしたのでしょう。彼女はとても明るい性格で、初対面の私にも遠慮なく話しかけてきました。

 まずはどうやってお近づきになろうか……、という私の考えは杞憂に終わりました。


 このクラスには彼女と中学校からの同級生の方が1人いるようでして、お互いに「カラス!」、「ホメ子さん!」と呼び合っていました。私もそれに倣って誉川さんを「ホメ子さん」と呼ぶことにしました。すると、彼女も私を「リンちゃん」と呼ぶようになりました。


 まだ知り合ってからとても短い間柄ですが、ホメ子さんとはとても仲良くなれるような気がしています。除霊師としての使命は当然ありますが、ひとりの友達として私は、悪霊から彼女を守りたいと思うようになりました。



 彼女と共に過ごす高校生活が約1か月ほど過ぎました。特に異変はなく、どこにでもいるような霊の類は時々見かけましたが、ホメ子さんにふれてくるような悪霊はまったくいません。


 一緒にいて彼女についてわかったことがあります。誰に対しても不思議な形容を用いて「褒める」ホメ子さん。ただ、褒められることを嫌がる人はいません。彼女の周りは、私も含めて常に友達の輪ができていました。


 そして、その不思議な性格とは無関係に、彼女は成績も非常に優秀で運動神経も抜群でした。入学してすぐに、中学校の復習のようなテストが各教科ごとにありました。その結果は、学年で上位5名だけ名前が発表されるのですが、どの教科にもホメ子さんの名前がありました。学年トップのものも中には含めれています。


 身長はどちらかというと低い方のホメ子さんですが、スポーツテストも軒並み満点に近い水準でした。後日、運動能力の数値とそれに伴ったグラフが描かれた書面が各自に手渡されたのですが、ホメ子さんのグラフはテレビゲームの「最強キャラクター」のようになっていました。


 ホメ子さん、恐るべしです……。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る