バレンタインデーの物語

羽弦トリス

第1話おばあちゃんのバレンタインデー

今日はバレンタインデーの3日前。

今年も、あの娘からチョコレートを貰えるのだろうか?

義理チョコでもいい。めぐみちゃんから、チョコをもらいたい。その日は、祖母の家に行き新品のテレビの設置を手伝った。

祖母はテレビはヤンマー製と言って聞かないが、パナソニックであった。

小一時間で、設置は済んだ。

お小遣いをもらい、高校生の僕はそのお金を釣り道具代に回すことが出来る。

さて、帰り支度をしていると、祖母が、

「明後日は、バレンタインデーでしょ?どうぞ」

と、祖母からバレンタインデーのプレゼントを受け取った。

「ばあちゃんありがとう。また、何かあったら、電話して」

と、言ってバイクで帰宅した。

渡されたビニール袋から、バレンタインデーチョコであろうモノを取り出した。

それは、竹の皮で包んであった。ひょっとして、高級チョコかしら?

竹の皮を開くと、ぼた餅が3つ並んでいた。

チョコじゃ、ないじゃない。しかし、甘党の僕はぼた餅を美味しく頂いた。

その年から、祖母からバレンタインデーは、ぼた餅となった。

人様の好意を無下には出来ない。

さて、ぼた餅は食べた。

バレンタインデーは近付いてくる。

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