第33話 お祭り気分になったら
作ったのは軽さ重視のフルプレート、足と頭はむき出し。
そして宇宙服みたいに上から着るワイヤーメッシュ服付きの長靴。そしてガラスを割って目の部分を覆ったヘイム。
ヘイムは薄い七拡大鉄と5縮小鉄で作った、精神攻撃にどちらかが効果があるはず。
奴ら針が届こうが届くまいが毒を噴出するのでこれぐらい必要。メッシュ服のしめは二重に折りたたんでボタン止め、但しワイヤーで隙間は出来ない様に。。
装備の確認をすることになった人員は私、セリアーヌさん、テミスさん、留め人のセイアさん、この人上位の風使いで力はあるが調整が出来ないリリカタイプ、最後にリーダーらしいドロウンさん。
裏手に行くと直ぐ三つの巣を見つけたので安全そうな場所でウィンドウを使い火を焚いた。
「なるほどこれに入れるのか」
「なるべく巣を包んで鋸で切り取ってすぐ上のひもを引いて口を閉じてください」
渡したのは大きなリングの下に二メートル四方のワイヤー製網袋の付いた虫取り網、今回持ち手を左右に付けた。
セイアさんとドロウンさんには大き目の虫取り網で周りの蜂を駆除してもらう。
セリちゃんとテミスさんが網を支えて私が切り取り紐で口を縛る。そのまま焚火に放り込んで終わり。
セイアさんとドロウンさんも結構な数を焼いている、すべて鉄製の強みだな。
メタルウールとかすぐ燃えるので限界の太さを探って作ったが全て大丈夫そうだ。
今回の予定の最後の一つが木に直接巣を作っているタイプ、面倒になったので低い位置だしセリアーヌさんに木の形に凹んだ盾を渡した、他の人皆虫取り網。
「ウエイィィヤァァァー!!」
あ、だめ、そんな裂帛の気合籠めたら。
ごおおおおおおおおお。
周り全てが吹っ飛んだ。
馬車の広場に戻ってきて、皆着替えたがセリアーヌさんが手間取っている、泣きを入れてきた。
「手が痛いんだーテミスー」
「ごめんなさい僕がうかつでした」
「二人で脱がしちゃったらご褒美よ」
「何言ってんだお前、いや、汗臭かったら、ダメだ、いやん」
大丈夫そうだ。
私の拡大鉄のフル装備のせいでマナが急上昇し大暴走、蜂は大半がつぶれて木が無くなって想定していなかった衝撃に手の守りが持たなかった。
手首を触ると喜んでいたので骨は大丈夫そうだ。
「それじゃあこの装備を貸与します壊れたら連絡をください、セイアさんは御気付きだと思いますが特別な金属です気を付けて使ってくださいね」
「有難うございます、手当ももらってその上装備まで用意いただいて感謝します。」
「そうなの?」
伝声塔は自主的な集まりだと思っていた。
「知らないのかい?自分の事だよ?」
「?」
しばらく考えていると鎧を脱いだセリアーヌさんが遅いとばかりに教えてくれた。
「オムルくんを、さ、が、して、た、の」
あーえーええーそれじゃあ他の領地じゃ。
「よその領地は情報を売って糧を得てるわよ」
「うちでは、得た情報はすべて領主様に報告する代わりに毎月決まった手当を頂いてます」
「売ったりはシナイの」
「それは内務の方でしてくれてます、半年に一度明細とともに料金が追加でもらえるんで」
「弊害は?」
「人数でしょうか?不満のある額では無いのですが決まっていると色々と」
「そのせいで大変でしょうが」
肝っ玉母さんが出てきた、奥さんかな。
「あたしはマイヤーだ、娘二人とここにいる」
「せっかくだしお聞きしても?」
「人がギリギリだから塔と生活を一緒にしないといけないんだ、水だよ水」
そうか、伝声塔は周囲で一番高い山のてっぺんにある、ここで暮らすとなると大変だな。
「毎日五キロ下にある湧き場に水くみに行ってるんだ」
「うーんそうか、記憶にあるのは、この辺霧は出ます?」
「毎朝出るよ」
「毎朝じゃないよ」
「いやそれで分かるんだよ」
奥さんが小さい体で旦那を睨んで、旦那が困り顔で言い訳する、いいね、いいね。
蜂駆除セットに紋章とナンバーを刻みながら子供たちに渡すときゃっきゃ言いながら奥に走っていく、軽いからね。
「さっきの裏の広場水瓶に使ってもいいですか」
「ゴミを燃やす場所があればいいよ、肥は反対を使えるよな?」
奥さんに確認してる、ああって言いながら私を胡散臭そうに見てる、見てなさいって、昭和だ、いいね。
裏庭に少し浮かした盥を作る下は子供が歩けるくらいを確保、直径十五メートルぐらい深さ二メートルない位で上に目の細かいワイヤーネットを掛ける。
この作業は皆でする、メンテナンスできないと意味がない。
さらにタンクの横に柱をネジ付ける、左右に付けた柱に平たい板を大量に付けたワイヤーを渡していく、十五本、皆へとへとになったがこれからだ。
砦の中にシンクを作って水を出すと歓声が上がった。女性陣が抱き合って喜んでる、男ってこれが出来ないんだよな。
その後タンクの横に囲いを作り浴場を作った。
さすがにそれはと言うので目に見える水量系を作った上から、大丈夫、気にして、注意、節水、あと少し、汲む覚悟と細かく書いてやる、この辺の高さなら雨も降るし霧があるならまず大丈夫、私も見に来るし。
いけない夕食だ、急いで戻ると砦の子たちとおもちゃなんかの物々交換をしていた。
野暮はいけないと厨房セットをだしたらリサやリリカが待ってましたとやってきた。
村の鳥小屋を見ると二十個ほど残っている、パンのことも有って気を利かせてくれたのかも知れない。
リサを呼んでお好み焼きを教える、これでメニューはさらに増える。屋台のセット、油の準備が進む中、マミルちゃんのジャンケンをこなしウインドウに鉄箱を投げる、たまにチャレンジしたが出来なかった、放り込んでから箱を膨らませる向こうを開けて銛で引っ掛けて入れる、全部入ったら箱を密閉して長細くして半分をウインドウから出してこちらを開く。
「いやったー」
思わず叫んだ私を見た皆が固まる。
「ん?。」
「ぎやああぁあ」
「なにあれ、きもっ」
「動いてる、動いてる、あちこち、ひぃ」
ああ確かにこのタコでかいな、食えるぞー。
これだけでかいと吸盤で肉をそがれるのでガントレットを付けてテミスさんとガラリアさんに手伝って貰って捌く。
子供たちが危ないから馬車の影で三人でもぞもぞ。
「大丈夫だこいつは飛び掛かってこない」
「俊敏に動かない大丈夫」
「大丈夫」
「大丈夫」
とっくに脳を潰してるのに動く動く、一本だけ軽く熱湯に入れて縦に割いてから塩揉みをした。後は元気が無くなったら塩揉みしてとお願いした。大きなバケツからはみ出してるタコを見てげっそりしてる、すまん次がある。
タコ焼き器を作りリサに説明、メニューが増えたので立て看板に書き足す。全員合わせると三十人超えるのか厨房にマリンカさんと、マリナさんが加わってる、砦の入り口でまだもじもじしてる人が居たので来てくださいとお願いした。
暗くなってきてクリームさんが宿車の上で手をばくばくしたので明かりをつける、この辺りも照らすようにと。
パンテさんも屋台に並んでいたので声をかける。
「追加加工頼める?」
「はい今日ですか?」
「いえ二三日は余裕がありますよ。」
「分かりましたリオナが馬車の操作を覚えたので大丈夫ですよ」
「じゃあ後で」
「はい」
「おれはさっきのカツサンドくれ」
「たこ焼きっておいしー」
「アツアツで中トロってして、甘くて辛くていいね」
「今年のお祭り番で揉めたけど、どうでもよくなっちゃった」
「おこちゃまはねー」
そんな声を聴きながらテーブルを出して宝石を出していろいろ作っていく。
蝶々のブローチ、クジャクの髪止め、小さな白鳥の付いた髪留め、バラのブローチも、唐草模様の指輪やネックレス、勇者のつもりのフィギュア、盾、剣、十倍力にパワーアップしたスリング、ハンドルをぐるぐる回してバネを巻き上げ三連発、ショートスピア、包丁、皿、鍋、フライパン、そんなものを作りながら後ろで暖を取りながら肉の薄塩焼きを作って冷ましている。
振り返ると女性陣の質問攻めにあった、あまりの剣幕にびっくりして近くを通ったライカさんに丸投げした。
最初面食らっていたが次第に調子が出てきたみたいだ。
「こちらのブローチはデザインもさることながら肌がこうなるんですよ、ほら」
皆がライカさんの右手を見てほうーとか言ってる、ブレスレット上げたなたしか。
「こちら金貨八枚!!」
いっ、一寸ライカさん、言葉を出そうとすると肩をリオナさんにつかまれた、屋台は?。
「旦那様は色々知らなすぎます、あんなもの銅貨単位で出されたら首を吊る人も出てきますよ」
そう言って自分のうなじを見せる、奇麗で耳たぶなんて赤子のようだ、髪止めか。
「分かりました、それじゃあ服を買うので付き合ってください」
「はい、いいですよ」
パーテイションを後ろに置きウィンドウをだす、あそうだ。
「クリームさーん、しばらくライト消します」
「いいよー」
念のため上の明かりを大きくして下の森まで照らしておく。
さて露店の市場の前でウインドウを開き何食わぬ顔で店主に声をかける。
「ヘイ居らっしゃい、奥様のお着物ですか?。」
「いえお土産が大量にいるものですから」
「ほう、どれほどのものを」
「リオナさんお願いします」
「分かりました旦那様」
リオナさんが選んでる間に買い物カートを作る、急がないと背景の違いを疑い出す。
「どう?」
「はい、良さそうな服が沢山ありました、量を優先しましたよろしかったでしょうか?」
「大丈夫ですよ、おいくらですか」
「お幾らって言われてもねー在庫のほとんどだ内も信用が有りますからねえ、逆に割増貰わなくちゃいけませんよ」
「大丈夫ですよ。」
「じゃあ金貨三十枚だ二割増しですよ二割!!」
この人大好きになっちゃったぞ、マーカーつけとこう。
商品を受け取った時親父が私の後ろを見て不思議そうにしたのでありがとうと言って消えることにした。
服はそのままリオナさんが売ってくれた。利益じゃなくてこの空気が欲しかった、懐かしい。
「来年坊主が帰ってくるんだ、もしもここにいるならこれ位の武器はいるよな」
「お母さんこれかわいい」
「サンドイッチ、うまいぞ、明日の分買っとこう」
「ホントにこのブレスレットで」
「下着もあるこの間買い忘れたのよ」
「わら半紙があるぞ安っ」
「トウモロコシも美味しいよー」
「かけてるたれよねヒミツは」
「お母さーん」
「食材は、食材はないの」
食材か、自分の食糧庫を見るとチーズと芋、ジャガイモ、トウモロコシ、あ、ほとんど食べてないソーセージがある。
別のテーブルを作り食材を並べる、予想外に群がってきた、芋とトウモロコシが人気だ、後調味料は醤油と味噌と、塩、胡椒、ソース、ケチャップそして酒、雄たけびが聞こえた。
後をセリアーヌさんにまかせて逃げた、あんなときは美人に限る。
「ナク、ネル、ユウ」
馬車の反対に行き呼びかけると林の方からものすごいスピードで三頭がかけてくる、巡回のつもりかな?。
「お座り」
ぴっしっと並ぶので思わず言ったらちゃんとお座りした、家の子かわいい。
さっき焼いて冷ましておいた肉を三等分して三分割した大皿に入れておいた、中心に水入れもある。
「さあお食べ」
おん
わん
ひん
ちゃんと返事をして食べてくれる。
「旦那さまー、包丁と食器が足りませーん」
何んとなく言いたくなる、夜は未だ始まったばかりだ。
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