小さな宇宙旅行
@KumaTarro
はじまり
「なあ、あれ宇宙船じゃないか?」
そう言ったのはカイだった。
「えー、そうかなぁ。
ただのテントみたいだけど。。。」
そう答えたのはヒロだった。
カイとヒロは男子中学、この春から2年生になる、幼なじみだった。
2人は近くの山まで自転車に乗り、遊びに来ていた。
ハアハアと息を切らせ、山頂にある公園に着いた時、公園の隅にポツンとある、三角形の物に気付いたのだ。
それは深い緑色をした、キャンプ用のテントのような形をしていた。
「だって、ほらよく見てみろよ。
テントにしては、入口が無いじゃないか。」
カイはジッと三角形の物を見ながら言った。
そう言われ、ヒロもそれをジッと見つめた。
「確かに、入口は無いみたいだけど。。。
でも、じゃあ何故それで、あれが宇宙船になるんだよ?」
ヒロがカイを見ながら聞いた。
「そんなの簡単だ。
ほら、横に『宇宙船・モフモフ号』って書いてあるじゃないか。」
カイはその文字を指さし、ヒロを見ながら言った。
「まっ、まあ、そうだけど。。。」
ヒロがそう言うと、
「行ってみようぜ。」
そう言って、カイは緑色の三角形の物に向かって走り出した。
「あっ、待てよ。」
そう言いながらも、ヒロもカイを追いかけ走り出していた。
「なあ、用心した方がいいんじゃないか?
こういう時って、映画なんかだと突然、入口が開いて、中から わんさか 宇宙人が出て来るだろ。」
興味深そうに、それに触っているカイを見ながら、ヒロが言った。
「うん、そうかもしれないけど。。。
ヒロも触ってみろよ。
これ、モフモフしてて、とても気持ち良いぞ。」
「そうか?」
カイに言われヒロもそれに触ると、確かに手触りは、まるで洗い立ての毛布のようにモフモフとして、とても気持ち良かった。
「確かに、モフモフだな。
でも、それでモフモフ号って、短絡すぎないか?」
ヒロがそう言った時、突然2人は、三角形の物の中へ吸い込まれてしまった。
「うわぁーっ。」
「わあっ。」
声を残し2人の姿は、三角形の中に消えてしまった。
小さな宇宙旅行 @KumaTarro
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