『赤』と『青』の世界
この世界は二つに分けられている。
それが、個を表す『赤』と、集団を表す『青』であり、人々の髪色はこのどちらかに染まっている。
髪色は本人の考えによって決まり、内的変化によって変わる可能性を持つが、おおよその人間が生まれ持った色で生涯を全うすることが多い。
故に、髪色の変化とは色の濃淡の変化を指すことが多く、どちらかへの比重が重ければ重いほど、色は濃くなり、軽ければ軽いほど、色は淡くなる。
そんな『赤』と『青』が支配する世界の日本はまさに真っ青だった。
島国という閉鎖された環境が、何をせずとも集団意識を育て、生まれが『赤』だろうがなんだろうが、問答無用で『青』にしてしまう。
それは現代においても続き、日本に暮らす人々の髪は
だから、俺の人生は終始自分が無害な存在だとアピールすることで埋め尽くされていた。
人と会えば、まずは己の髪色にギョッとされる。
そして、こっちからニコニコ説明して、やっとホッとされる。
俺は会話ごとにひどく
だが、それも高一までの話。
当時高一だった俺は、今まで行ったこともなかった東京にノコノコと赴き、そこで見たあまりの現実に息ができなくなった。
そして、ニコニコと無害さをアピールするだけの俺は『青』に溺れて死んだ。
それ以降は死んだように生きた。
朝は決められた時間に起き、夜は息を
弁明する気力を失った俺から人は離れ、ただひたすらに時間だけが
何にもなれない俺に、何かを選ぶことなどできなかった。
しかし、そんな俺にも変化の
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます