不透明な日々の中で

星丘あやな

プロローグ

真夏の昼間の公園でベンチに座りながら真っ青な雲一つない空を見上げながら朋花はため息をついた。

「この三年間私は何をしていたんだろう‥何が駄目だったんだろう。」

先週私は三年間付き合った彼に婚約破棄をされて、仕事も失った。職場の同僚たちには「今が一番楽しい時期だね。」と言われていたが、正直本当にこのまま結婚していいのか分からない状態で入籍まであと一ヶ月と思いながら淡々と準備をしていた。彼が嫌いではなかったが、結婚準備の途中から義務に近い様な気持ちで動いていた様な気がする。もちろん彼と将来の話をするのは楽しかった。けれど、結婚が近づくにつれて彼の好きな所ばかりに目を向けていたのが、嫌な所もみえる様になってきた。仕事も忙しく、中堅という立ち位置でストレスが溜まる一方で一言で言うと“疲れていた”のだ。真面目な私は家では気が抜けてダラダラするも、仕事や結婚の準備などに関してはしっかりしないとと責任感が強く中途半端が嫌いだった。だけど仕事も辞めて、結婚も辞めて今の私には何にも無くなってしまった。いっそのことしばらく何もかも捨ててのんびりするのもありかもしれない。公園では小さな子供を連れて遊ぶお母さん達が楽しそうに談笑している。もしかしたらそのまま結婚していれば私もその輪に数年後には入っているかもしれなかったんだな。そう思うと、寂しい様なホッとする様な不思議な感情が入れ混ざる。

向かい側のベンチには若いスーツを着た男の子がぼーっと遊んでいる子ども達を眺めている。仕事の休憩中なのかな。端正な顔立ちだがどこか儚げで寂しそうに感じる。彼を見ていると大人だけどまだどこか幼げで手を差し伸べたくなる感じだった。暑さが増し、公園にいるのも飽きたのでそろそろ家に帰ることにしよう。手に持ってったペットボトルをゴミ箱に捨てその場を後にした。

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