空の池
『冬の層』から『天上の園』を見上げると果てしない距離があった。
風に吹かれてふんわりと浮かぶのも不思議な感覚だ。
体全体がふんわりと浮かび、ラフレシアに引っ張られて上へとのぼっていく。
この距離とペースであれば、モモにゆっくりと冬の層で見たことを話せそうだ。
氷でできた温室の花園やオーロラ、流氷の話を語り聞かせていると『天上の園』まであっという間だった。
とても長い間浮上していたことはちゃんと体が覚えていたようで、地面に足をつけた途端バランスがとれなくてよろめいた。
なんとか体勢を立て直し、尻もちをつかずにすんで安堵のため息をつく。
一安心できると、今まで風に乗っていた不思議な体験に胸が熱くなってくる。
心地良い飛翔だった。
モモが壁にぶつからないようにしてくれて、なおかつ快適に風を制御してくれていたのだと気がつくと、心がじんわり温まってくる。
「私も見たかったなあ……」
少し残念そうに言うモモの声が聞こえてきて、さっきまでの温かい気持ちが申し訳ない気持ちに染まっていると、すかさずジニアがモモへ語りかけた。
「大丈夫、また空中庭園においで。そしたらきっと見に行けるから」
モモはジニアをじっと見つめたあとこちらにちらりと視線を投げてから微笑んだ。
「そうね! また私がどこかの領地へシルフ様の恩恵を届けにいくときがきて、あなたたちがまだここにいるのであれば!」
三人で温かく微笑みあい、絆が深まるとはこういうことをいうのかと感慨深くなるのだった。
その様子を見ていると自然と笑顔になれて、心が温かくなってくるのだった。
「さて『空の池』に寄ってから気球の場所まで行きますね」
手をぱんとたたき、空を見上げながらジニアが提案したので、モモと一緒に空を見上げた。
太陽が空の6分の1ほどの位置にもかかわらず、太陽がない側の空の端――空の6分の1が青く暗い色になっている。
それでいて日の光が見えるので明るい、なんとも不思議な空模様だった。
ふと、この世界の太陽はユグドラシルの実だと言われたことを思い出す。
だからこんなに不思議な空模様なのだろうか。
新しい不思議はとても美しかった。
疑問を深く追求して質問するより、うっとりと楽しんでいたい気持ちが勝った。見える景色をそのまま、ありのままで。
空が昼間くらい明るいのに、太陽の位置があまり動いていないように見えたのに、夜の帳が半分ほど下りてきて、星空が顔を覗かせ始めた。
月はどんどん輝きを増している。
やはりこの世界の月はとても大きい。
恐怖はなく、ただ美しさに魅せられるばかりだった。心なしか光がとても温かい。
いつの間にか手を伸ばしていた。
月がそのままゆっくり手をとって、魂を運ばれそうな感覚になって我に返る。
『空の池』に案内してもらうところだったのに、ついつい見惚れてしまっていた。
慌ててジニアとモモへ目を向けると、モモは同じように空を見上げてうっとりとし、ジニアは下を向いて少し考え込んでいる様子だった。
ジニアが下を向いているのは、さっき話してくれようとしていたことなのではないか。
もしかして、とても大事なことだったのではないのだろうか。
あれこれ考えていても仕方がない。またその時がきたら話してくれる。そんな気がしてくるのだった。
穏やかな笑みを浮かべ、ジニアから視線を逸らし、二人とも物思いに耽っているようだったのでもう一度空を見上げた。
真昼のように明るい世界で夜空を半分拝むのは本当に不思議な気持ちだった。
このまま空がすべて暗くなると地上も一緒に暗くなるのだろうか。
それとも、暗くなる途中で地上も暗くなってくるのだろうか。
そういえば、月が中心ということはずうっと満月を拝めるということなのかな?
「この世界の月って欠けたりするのかな」
口をついて出た疑問に二人は優しく微笑み、我先にと答えようとしてちょっとした言い合いが起きた。
「ちょっとー。たまには私が教えてもいいじゃない! 遠慮というものを知らないの?」
「そっちこそ。僕が説明するからゆっくり眠気でも覚ましてなよ」
モモは我が意を得たりと笑みを浮かべる。
「眠気覚ましに説明するのはもってこいじゃない? 頭を動かすんだから」
ジニアは、ほほうそれは楽しみだと微笑み、大人しく引き下がった。
「この世界の月はね、欠けることもあれば、穴が空いたりすることもあるの!」
凄く得意そうに言うモモを尻目に、ジニアはやれやれといった仕草で付け加えて説明してくれた。
「月と地上の間に何かが漂っているようで、月に浮かぶ影――模様が増えたり減ったり動いたりしていることがあります。欠けることもあれば穴が空いたように見えることもあります。モモからユートピアが月にあるという話を聞くまでは、月に模様をつけているあの影こそがユートピアだと言われていました。他にも、ユグドラシルの実が漂っているところを他の何かも漂っている、それこそがあの模様の正体だという説もあります。それが島だと言う人もいれば、太陽と違って光を食らう禍々しいものだと言う人もいて、まだ解明されていない未知の存在です」
うんうんとうなずきながら、心なしかモモは顔が赤くなっていた。
ジニアほど説明できなかったことを恥じているのだろうか。
こういうときどうしたらいいのかがわからない。
今まで本当に長い間誰とも交流しないできたものだから、いくら考えても本当にわからなかった。
声をかけるべきか、気づかないふり、見ていなかったふりをするべきなのか。
助け舟を求められている訳でもないけれど、見てみぬフリなんて冷たい気がしてしまう。だからといって、わざわざ声をかけると意地悪しているようで気が引けてしまう。
どうすればいいんだろう。
戸惑っていると、ジニアがパンと優しく手を打って提案してくれた。
「じゃあ、時間も押しているし、先を急ごうか」
その言葉を聞くや否や、モモがそうしようそうしようと気分を切り替えて強く同意したのを見て安堵した。
安堵すると同時に、そういう方法があるんだなと感動もしたのだった。
あえてそのことに触れることなく、気づいている素振りも見せることもなく、モモの面子を潰さずに気分を切り替える選択。
さりげない優しさというのを目の当たりにし、自分がいかに不器用で何も知らないかを改めて実感したのだった。
ジニアとモモはいつものようにじゃれ合いながら、僕はそれを見て心が温まりながら、三人は目的地へとたどり着いた。
「ここが『空の池』です。『空の池』は居住区にあるので住人もちらほらいます。どの角度から見ても空が水面に映って見えることからそう呼ばれています。そのまんまですね。人が覗き込んだ場合、想いが最も強くなる相手が映ると言われています」
大事な人とは言わなかった。
それが意味することはつまり、好意だけでなく恨みや悲しみの気持ちを指しているのだろう。
鉛のように気分が重くなっていく。
「妖精が覗いても誰かが映ったりするのかしら?」
憂鬱な気分をよそに、モモは興味津々といった様子で池の上まで真っすぐ飛んでいってしまった。
見ているとちょっとずつ元気になれる。
「どうなんでしょうね。今までお会いしたことがありませんでしたから。試してみましょう。命を落としたり削ったりするわけでもありませんし、実験です!」
池にまっすぐ向かっていく二人の後ろで立ちすくんでしまった。
もし覗き込んだときに見えるのが真でなかったなら、笹倉が映ったならと思うと少し怖かったのだ。
真との友情よりも、今まで味わってきた暗い気持ちが勝っていたなら、笹倉や担任の先生、他の人々からの理不尽な仕打ちを根に持っていたのなら、一体誰が映ってしまうのだろう。
それだけじゃない、自分が何も言わず、何もしなかったせいで辞めてしまった井村先生のように、意図せず自分が追いやった人が映るのではないか。
池に向かっていたはずのジニアがいつの間にか目の前に立っていた。
気がついても顔を上げることなんてできなかった。
思い悩んでいるとジニアは目の前から斜め前の位置にずれ、少し体を横に向けて何も言わないで待っていてくれた。
そうしてもらってからしばらくすると、ようやく顔を上げることができた。不思議と気持ちが落ち着いたのだ。
「やっぱり、ジニアくんってすごいよね。気遣いが、人を落ち着かせる気配りがすごい」
人がどうすれば落ち着けるのかを知り尽くしている立ち回りに感動しながらそう言うと、ジニアは少し考え込んでから口を開いた。
「そうかな。でも、そうかもしれない。僕の母親は不安定な人だったんだ。今は少し違うみたいだけどね。だから、普段みんなに気を遣うことはさほど辛くないし身についてしまったものみたいなんだ」
遠い思い出を落ち着いた口調で、しかしどこか影がさした様子で話しているのを見ていると胸が痛かった。
短い間でも、今まで一緒にいる間全然気が付かなかったことだった。
どれだけ苦労していたのかがわかってしまう。
人は皆、表に出さないだけで辛いなにかを背負って生きているのかもしれないと気付かされもしたのだった。
「そうだったんだね。ごめんね、無神経だった」
自分の鈍感さと考えのなさに罪悪感を覚えた。
嫌悪感さえある。
自分の鈍さに悔しさすら覚える。
「表に出さずに隠していることを見抜くなんてできっこないですよ。それより、覗くのが怖いですか」
さりげないフォローに、言葉を繋いでくれる優しさ。
涙が出そうになりながら、素直に首を縦に振る。
実際、怖くて仕方がなかった。足を踏み出すことなんてできなかった。
「映るのは僕の友人であって欲しい。もし違ったらって思うと……」
声が震えてしまった。
怖くてたまらない気持ちが溢れてしまう。
「想いが最も強くなる相手って、好感のある相手だけじゃないってことだよね。もし本当にそうなら、真くんが映らないかもしれない。僕にはそれが怖くて」
口がガクガク震えてくるのを両手で隠す。
これ以上喋ると言葉が震えてしまうから沈黙する。
「怖いよね。でも、きっと大丈夫だから」
何かを言いかけたが首を振り、そっと手を差し伸べてくれた。
おそるおそる、ジニアの手に自分の手を伸ばしてみる。
ほんの少し、同じように震えているその手は温かかった。
「僕も、もう一度覗いてみようと思うんだ。でも、ちょっと怖くて。僕も、ちゃんと大事な人が映ってくれるかわからなくて怖いんだ。でもね、二人でならきっと大丈夫だって気がする。どうかな、一緒に覗いてくれるかな」
怖い気持ちもまとめて両手で包むようにジニアの手を握り返し、にっこり微笑んで頷いた。
何故か恐怖心が和らいでくる。
怖いのは僕だけじゃなかったんだ。
自分の恐怖より、ジニアの恐怖を和らげられたなら、守ることができたなら。
そんな気持ちがちょっとだけ前に出たような気がした。
二人が池に向かうと、先に池を覗き込んでいたモモが心を奪われたようになっている。
モモが見ているのは誰なんだろう?
気になってくると不思議と恐怖はどこかへ消えていった。
ジニアもモモを見つめているのに気が付いた。
その横顔には優しい笑みが浮かんでいる。
真くんが僕へ向けてくれた笑顔みたいだ。
ジニアがこちらを向き、微笑みかけてくれてさらに気分が楽になる。
池をそっと覗き込んでみた。
そこに不安はなく、ただひたすら気になる友人の姿を心に描く。
池には話に聞いたとおり空が映っていた。自分の姿はどうあがいても映らない。
そうか、どの角度から見ても空が映るとはそういうことか。
時は流れ、空の半分がミッドナイトブルー――暗い青色に染まっている。もう半分は昼間よりも色が薄い。半円状にベビーブルー――灰がかった水色になっている。それに合わせて月も半分強く輝き、もう半分はうっすらと顔を覗かせている。
なんとなくカレーライスが頭に浮かんだ。
色は違うけれど黒と白のカレールウ。真ん中の月がライスかな。
黒いルウには白くて小さな星型チーズがたくさんちりばめられているんだ。
もしこれをデザートに例えるならば、真っ白なスポンジケーキにブルーベリーソースを半分かけて、真ん中にはバニラアイス! ブルーベリーソースにはアラザンをちょっとだけまぶしてみる。
これも少し色が違うけれど、色なんて関係なしに美味しそうだ。
太陽は先ほどと位置がほとんど変わっていないよう。気のせいか、少しずつ小さくなっているような。
空の色が徐々に変わっていく様子を映した池はとても綺麗だ。自分の余計な影が映っていないおかげでゆっくり堪能できた。
星空のソースがゆっくりと塗り広げられていく。
太陽は徐々に小さくなっていき、ちょっとずつ欠けてなくなった。
月が中心の世界だから、向こう側に行ったんだろう。しかし、月の後ろに隠れる前から欠けてたのはどういうことなのか。
非現実的な空の移り変わりに引き込まれていると、風もなく水面が揺れ、見慣れた風景がぼんやりと映り始めていることに気がついた。
自分ではない誰かの姿がぼんやりと浮かび上がってくる。
縁側に座って夜空を見上げている真が映し出された。
さきほどまでの不安がかき消されていくのを感じる。真が映ったことがとてつもなく嬉しかった。
声をかければ振り返ってくれるのではないかと淡い希望を持ちながら声をかけようとすると、真がこちらを向いた。
もしかするとこっちに気づいたのかな。
心臓が高鳴るのを感じながら改めて声をかけようとすると、真の口元が動き、何事かを言っているのがわかったけれど、池に映っているだけにすぎず、何も聞こえてはこなかった。
声をかけることが無駄だとはっきりしてしまい、もう声をかけようなどとは思わなかったが、身振り手振りで何か伝えられないか考えていると、井村先生が映りこんだ。
ああ、真くんは見ている僕に気がついたのではなく、先生の方に話していたんだなと気が付き、動きで何かを伝えることも諦めた。
なんとなくわかっていたはずなのに。ただ見ていることしかできないんだ。
真が映ってくれたという安堵と嬉しくてたまらない気持ちがさっと曇っていく。
二人はしばらく言葉を交わしていたようだったが、井村先生がしばらくどこかへ行き、戻ってくると毛布を真の肩にかけていた。
寒いから戸を閉めるとか、もう遅いから寝ようとかいっているのだろうか。
真が頭を振ると、井村先生はどこかへ行った。
真はしばらく一人きりで、心配そうな寂しそうな顔をしながら空をもう一度見上げ、一筋の涙を流している。
それがたまらなく切なくて胸が苦しい。
もう嬉しさなど微塵も心に残っておらず、ただ胸が張り裂けそうなほど辛かった。
見ていることができなくなって、池から顔を上げた。
ほとんど星空に染まった空を見上げ、ため息をついた。
涙のフレーム越しに見上げても、星が美しく輝いているのがわかるほどの絶景だったが、今はそれを愛でていられる気分ではなかった。
ああ、なんて切なくてやるせないのだろうか。こんな苦しい想いをすることになるなんて。
映ってくれたときはあんなに嬉しかったのに、こんなに悲しそうにしている真くんをただ見ていることしかできないのか。
空を見ながら思いを馳せていると、一筋の白い光が流れるとともに、星の輝きを映した雫が頬を伝った。
流さないようにしていたはずだった涙が溢れて止まらない。
流れ星は誰かが死んだときに流れると聞いたことがある。
ひょっとしたら真くんにとって大事な人が死んでしまったのかもしれない。
この世界の星もそういう話があるのかどうかわからないけれど。
しかし、どうして真くんはあんなに悲しそうな顔をしていたのだろう。
両目を拭い、泣いたあとが残ってないか確認しようと池を覗きかけたが思い直した。空しか映らないんだった。
あたりを見回してみたけれど、確認できるものがなにもないことに肩を落とし、ジニアの方を向いた。
池を夢中で覗き込んでいる。
ひょっとすると、映ってほしかった人が映ったのかもしれない。
それはとても喜ばしいことだ。
それなのに、どういうわけか心にモヤがかかった感じがする。
モモもジニアも、映った人は大事な人で、元気で幸せな様子だったのだろうか。
池を覗き込んだところで、他の人が見ているものが見えるわけでもない。
黒く渦巻く感情が胸に溢れてくる。嫉妬だってわかってる。
でも良かったじゃないか、自分と同じで辛い思いをする人が少なくてすんだのだから。
我に返り、そう思い直すと頭を横にふるふると振った。
もしかすると、映っている相手が深刻な状態なのかもしれない。
でも、もし二人が楽しそうに池で見たことを話したらちゃんと合わせられるだろうか。
一人だけこんな暗くて辛い気持ちになって、楽しそうな雰囲気を壊してしまわないだろうか。
暗いだけでなく人を妬んでしまったり、雰囲気をぶち壊すようなら、どこかへ一人で消えていきたい。
嫌だった。
誰も悲しませたくないし、自分が悲しい思いをするのもうんざりだ。
自分のせいで楽しかった気持ちを陰らせたくなんてない。
邪魔になりたくない、邪魔になんてなりたくなかったんだ。
一人になってしまえばこんなに嫌な思いをしたり、させてしまうことなんてない。
そうだ、自分ひとりでこっそりどこかへ消えてしまおう。
気球のある場所はわからないけれど……。
ふらりと消えようとしたその時、モモがピューンと飛んできて、明るく話しかけてきたのだから必要以上に驚かされてしまった。
その様子をモモはひとしきり笑い、池で見たことを話してくれた。
「すごいの! 私が机に座って、見たこともない文字いっぱい書いてた!」
目をキラキラさせながら嬉しそうに話すモモを見ていると、鬱屈とした気分が少しだけ楽になった気がした。
妬みで冷たい返しをするのではないかと不安だったが、案外温かくて優しい気持ちを持っていられるものだ。
「それでね、それでね! メガネかけてて、不思議な小さい箱に名前が書いてあったの! 梅子って言うんだって! ここにいる私は桃で、映った私は梅! なんだかすごい!」
モモの話を聞いていると頭に疑問が浮かぶ。
「そういえば妖精さんたちって、誰かを思うことってあるの? いや、それはあるにはあるんだろうけど」
すると、モモは首を傾げて不思議そうに見つめてきた。
「どういう意味? 思うことはあるけれど。でも、そうね。自分の姿が映ったのだから、私は私を一番に考えているのかも! でも、変ね。今の私はこうしてここにいるし、名前は梅子じゃないの。もしかすると、モモは裕樹がくれた名前だから、本当の名前は梅子だったりして」
モモが話しかけてくれるまで暗くて考えるのも辛かったのに、風に運ばれていく雲のようにどこかへ流れていったようだ。
新しい疑問に思考が持っていかれたからかもしれない。自分が映っていたって?
比較検証ができないので妖精特有のものなのかは不明だが、モモの場合は今現在と違う場所、違う名前の自分が映っていたらしい。
映っているのは『今』の状況じゃないのかもしれない。モモが双子の可能性もある。他人の空似かもしれないし……。
新しい発見とあらゆる可能性に興奮していると、ジニアが合流した。
「ごめんね、夢中になっちゃってた。お待たせ。楽しそうにしてたけど、もしかしてお邪魔だったかな」
さっと心が曇りそうになったが、モモが池で見たものを嬉々として話し始めたので、気分を悟られずにすんだ。
モモの話を聞き終えたジニアは少し考え込んでいる。
モモは興味津々といった様子で何を見たのか尋ねてきたけれど、悲しい気持ちを顔に出してしまったからか質問はとまった。
その様子にジニアが気づいたのか定かではないが、気球のある場所を目指そうと提案し『空の池』を後にした。
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