消えないシミ
たから聖
第1話 その日は突然に……。
俺は一人暮らしをする羽目になった大学生、だけど何処かワクワクしてるんだ。
ほら、事故物件とかあんだろ?
そういったヤツってホントかよ?って思ってた。
そう、この部屋に住むまでは……。
◇◇◇◇◇
一目見て分かった。
壁にシミがたくさんある事に、まず戦慄が走った。
『お客様、ここはお辞めになった方が……』としきりに不動産屋は止めに入る。
俺は強気で『楽しそうッスから別にここでも大丈夫です!』
不動産屋の顔色が悪い……。そしてボソッと聴こえにくい声で話した。
『知りませんよ。』
アパートの鍵🗝を渡されて、俺は部屋へと入る。
畳の6畳一間だ。キッチンらしいものもある。
俺は霊の気配にはかなり鈍感だが
瞬間的に…ヤバい!!と感じた。
『あっ……あの……』
不動産屋は…ニヤリと笑いながら
『お幸せに。』
と呟いて走って逃げて行った。
何なんだよ?!まじかよ!!
壁に目をやると、そのシミは存在感を放っていた。
しばらくオレは、シミを見つめる。と……?!
壁のシミからどす黒い血の様なモノが滴り落ちてきた。
『うわぁ!!!激ヤバじゃんか!!』
部屋を飛び出そうとするも、足がもつれて、転んだ。
と、その時……
シミから黒い黒い手が伸びて来た!!
『うわわわわわわッッッ!!』
その黒い手は、俺を掴みながらも
引きずり込んでいく。
『止めろ!やめてくれ!!』
壁のシミを見ると大きな口が空いていた。
俺の思考回路は…既に恐怖で停止状態だった。
(何が?!何が起きてるんだ?)
有無も言わさぬ恐怖で身体が硬直する。
ズルズルズルズル
壁の口に飲まれてしまう!!
『ぎゃーーー!やめてくれーー!』
引きずり込まれた男は……
新たな壁のシミと化した。
消えない存在の
大きな大きな黒いシミ……。
もし、間違えた選択をし部屋に入ってしまったら?
貴方はもうこの世に戻れないかも知れない。
[完]
消えないシミ たから聖 @08061012
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます