異世界構築はおうち時間でっ!
超新星 小石
第1話 プロローグ
その日、その時、
「がぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼッッ!」
顔面にスライムが纏わりついた状態で。
ところが半液状の柔らかボディは、彼の抵抗を嘲笑うかの如く受け入れては受け流す。
いつしか流星の手はスライムではなく自身の首を掻きむしり、仕舞いには喉を抑えて両膝を地面についた。
「がんばれー。ファイトですよアドミニスター。これは自分との戦いです。酸素がないくらいなんだっていうんですかー。人間、気合があれば酸素が無くてもがんばれる! わたくしにホモ・サピエンスの底力を見せてくださーい!」
傍らで間延びした声援を送るのは、紺色の三角帽子を被った銀髪の少女。
満月のように煌めく金の瞳と、晩秋のさざめ雪を想起させる白い肌。凹凸の少ない体を包むのは帽子と同じ濃紺の
首元は星の刻印がされたループタイで締め上げ、しっとりと柔らかそうな太腿には、少々ファンキーな雰囲気を漂わせる革のベルトが二つ。
暗褐色のローファーとふくらはぎを覆う黒いソックスに包まれた足を折って、地面の上に小さなお尻を置いている。
彼女が、いよいよスライムの体色と同じくらい青い顔をし始めた流星につまらなそうな視線を向けていると、芝生の上を駆ける一陣の風が腰まで伸びた銀髪をさらった。
「あ、良い風」
少女が風に踊る髪を掻き上げながら呟いた直後、流星は一際大きな気泡を「がぼぉ!」と吐き出して、尻を突き出しながらうつ伏せに倒れた。
心は死にたくないと無我夢中。
けれども体は、動けませんよと力が抜ける。
脳みそは酸素をくれよとエスオーエス。
けれども肺は、酸素以外は受け付けないよと万事休す。
その日、その時、頬を土で汚しながら彼は思った。
なんでこんなことになったんだっけ――――と。
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