異世界転生!!…を別にしなかったお話
ハッピーディストピア!
第1話
科学の光、それは夜の闇を追い払う人類の叡智た。昔、エジソンによって誕生したそれは当時の人々にとってまさしく革命的なものだっただろう。
今まで夜は、闇に包まれ人々の活動を大幅に限らせ、そして恐怖を与えていた。しかし、その闇は科学の光によってけど消え去っていった。そして現在、日本の都市では遂に闇を知ることは無くなった。24時間いつでも人間が活動できるようになったのだ。
先程も言ったが、これはまさしく革命的なものだ。闇に怯えることなく生きれるのだから。しかし、そんな闇を恋しく、そして科学の光を憎たらしく思う男がいる。それがこの男、小野一労だ。
もちろん、それには理由があった。彼はサラリーマンなのだが、働いている職場はなかなかのブラックなため毎日のように残業詰めである。故にこれを可能にした科学の光を忌み嫌っているのだ。
「科学の光なんぞ、クソ喰らえだ…!!」
そう呟くおっさん。しかし、この男が嫌うのは光だけではない。
「あとあのクソ会社!給料安すぎんだよ!生きれるだけマシでしょ?みたいな思考やめろやクソがぁ!!」
おっさんは一度口を開いたら途端にだらだらと愚痴をお漏らししてしまう。
「そんであのクソ上司!!なんであんなやつが上司なんだよ!それでよく会社もつな!あっもしかして逆らえずにしっかり働く奴隷がいっぱいいるお陰かな?って喧しい!!誰が奴隷だボケェ!!」
今の彼に羞恥心はない。その原因はそのフラフラとした歩き方と真っ赤な顔が物語っている。故に叫び続ける。これには人々も嫌な顔…はしていなかった。皆、酔っ払いのおっさんに慣れてしまっているのだ。おっさんにとっては幸いなかとかもしれない。けれど、無関心というのは随分と哀れに感じる。
「そもそもだ!!この世界がクソなんだよ!!ただ仕事をするだけの世界!!一体何の為に生きてんのかわかったもんじゃねぇよクソが!!あーあ、異世界転生でもしねぇかなぁ。魔法使えて、ハーレム作れて、さぞ楽しいんだろうよ…。」
おっさんの願いは何とも馬鹿馬鹿しいが、こんな願いでもその壊れそうな心をなんとか保てているのかもしれない。そして横断道の前で止まると、ふとおっさんは思った。
「…ここ通る途中で信号無視したトラックにでも惹かれなぁかな。あわよくば人救って死にたい。」
自分で死ぬのは怖いので、他人任というクソ野郎。しかもおっさんのようなモブにそんな勇気などあるはずもないのに随分都合のいいことしか考えないおっさん。というかおっさんの動体視力じゃどう考えても間に合わんじゃろうに。
おっさんくだらないことを呟いていると、信号が青になった。常に重たい足を前に出す。すると、奇跡は起きた。
「おっとと…ん?」
おっさんは少しだけ目眩がし、立ち尽くしていると、トラックがスピードを落とすことなくおっさんに向かっている。意外と願いは叶うようだ。
「は?嘘だろ…?終わった。」
…どうやら本当に死にたかったわけじゃなさそうだが。そしておっさんは宙に舞う。意識を暗闇に持っていかれるのを感じながら。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「…っは!!」
おっさんは目を覚ました。しかし、先程の歩道とは一変、視界には見知らぬ天井がある。
「あれ?どういう…あっ。」
どうやらおっさんはここが病i「もしかして異世界転生?!」
…だとは気づかなかったらしい。
「うおおお、まじかよ!!」
おっさんはどうやら正気じゃないらしい。しかし随分とはしゃいでいると、
「黙れよクソジジイ!!!」
「あはい。」
隣のベッドで寝ていたらしいおじさんが怒鳴る。おっさんは申し訳なさそうにしながらも、隣の方はおじさんに転生してしまったのかと同情した。
「…異世界って思ってたんとt「小野さん、目を覚ましたんですね。」
おっさんがいまだに勘違いをしていると、救世主が現れた。
「あなたは医者に転生したんですか?なんか地味ですねw」
またおっさんは勝手に同情すると、医者は何言ってんのこいつという顔をしながら言った。
「はい?転生?小野さん、何を言ってるんですか?」
「えっ?ここって異世界なんでしょ?」
おっさんは医者の言葉に戸惑う。
「異世界?…小野さん、いい歳した大人が何を言ってるんですか?夢と現実ぐらいしっかり区別できないと困りますよ?」
医者の言葉に、おっさんは冷静になるとともに本当に死にたいとも思った。
異世界転生!!…を別にしなかったお話 ハッピーディストピア! @ataoka881
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