第14話
「ロイ!」
父親が駆け寄って来る。
途端に、身体が動かなくなった。
父親の後ろを、義母と腹違いの兄が歩いている。
(大丈夫…ロイは、ロイは……!!)
「久しぶり、お父さん」
嗚呼、「お父さん」だなんて…呼んだだけで吐き気がする。
「ロイ、今迄ヴィランに誘拐されてたんだろ?」
「ロイ、無傷で良かった…!」
「すまんな、ロイ。兄ちゃん、ロイの事が大好きだよ」
気味が悪い。何で今更?其れに、静留様達は…ロイを救ってくれたんだ!!
ロイは心の中で強く思った。
(早く、familiarの皆が無事なのか確認を…!)
「瑞樹」
「…お母さん」
「良かった、本当に…良かった……!」
瑞樹に縋り泣く瑞樹の母親。
(泣きたいのは、僕のほうだよ…)
「ただいま、お母さん」
「…何、これ」
「は…?おい、隊員は…?」
マオ、ルカはfamiliarのアジトに居た。
丁度用事が片付いた為だ。
来る途中、違和感を感じた。
いつもなら隊員達の遊び声が聞こえるのに、聞こえなかった。
いつもならご飯の匂いがするのに、しなかった。
静か過ぎたのだ。
「…ルカ」
「嗚呼、分かってる…」
「私は静留さん、竜斗さんに連絡するから」
「俺は残ってる隊員が居ないか探す」
マオ、ルカは互いに頷いた。
「クソッ、何で誰も居ねーんだよ…!!」
あれからルカはアジトの中を走り、僅かな希望を抱いて隊員を探した。
…だが、残っていたのは無残にも荒らされた花壇や畑、ボロボロになった隊員達の部屋。
中には、壊された兎のぬいぐるみもあった。
「…これ、ロイに隊員達が手作りであげた…」
皆手を絆創膏だらけにして、静留や竜斗、マオ、ルカに瑞樹の手を借りずに作った物だ。
「ヒーローが、壊した…?」
つう、と冷や汗が背中を伝う。
一気に身体が寒くなった。
「……待ってろよ、お前ら!」
「はい、ですので早く此方に…」
マオは電話で静留達に異常を伝えた。
だが、次の瞬間。
〈…無理だ〉
「…え?」
〈俺達、今動けねーんだ。ヒーロー(笑)に此処に残るよう言われてさ〉
〈竜斗も同じだ〉
〈まだ時間が掛かる…俺達から、命を出す〉
「…はい」
ごくり、とマオは喉を鳴らす。
静留、竜斗の命令はfamiliar内では絶対だ。
〈俺達がそっちに向かう迄…隊員達を、取り返せ〉
「御意」
―――全ては、貴方様の仰せの侭に―――
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