第7話

 「静留、聞いた?」

「何をだよ」

登校中、玲香が質問をしてきた。

「最近、子供達が異様にヴィランを信じる様になったんだって」

「あっそ」

割とどうでも良い話だった。

だが、玲香には到底信じられない様で…。

「ヒーローが偽善者だって!静留、どう思う?!ヴィランが正義だなんて…有り得ないわ!」

ヒーローが俺達を見捨てるからだろーが。

そう静留は思った。

確かにヴィランは一般人、ヒーローから見れば悪かも知れない。

だが、静留達みたいなヴィランに恩がある奴等からすればヒーローこそが本当の悪であり、偽善者なのだ。

其れが事実である。

覆る事は、無い。

静留は欠伸をしながら玲香の愚痴に付き合った。


 「今日から交換留学生としてこのクラスの仲間になる生徒を紹介する。入れ」

(交換留学生ねぇ…)

静留は頬杖を付き、窓の外を眺めていた。

ガラリ、と扉が開く音が鳴った。

「…?!」

静留は目を見開いた。

其れは交換留学生も同じで、静留を驚いた様に見ていた。

「井川、どうした」

「…いえ、何も。」

井川、と呼ばれた少女は微笑みながら言った。

「井川瑞樹と言います。こう見えて男ですので」

まさかの、交換留学生である少女は男だった。

其れに大きなショックを受けるクラスの者達。

「僕は三ヶ月間此処の生徒になります。仲良くして下さいね」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る