終末兵器核魚雷ポセイドンの脅威、松陰の実力者になりたくて外伝

七星剣 蓮

第45話 終末兵器核魚雷ポセイドン

 プ連、プルチノフ連邦国には恐ろしい終末武器がある。

 核魚雷ポセイドンである。


 今からおよそ20年余り前の2023年に完成された核魚雷。[実在]


 5年前の世界大戦で使用された反水素爆弾は反物質の大量生産が困難で対消滅破壊範囲が限定される上まだ反水素を大量に安定して保管できる容器がないため対消滅破壊範囲は限定され、放射能を撒き散らすこともないが、この核魚雷は違う。


 およそ100メガトンの核魚雷を敵国沿岸の深海で爆発させると地上には高さ500メートルを超える津波が押し寄せ更地と化してしまう。

 標高931メートルの六甲山も半分以上が放射能汚染された海水に浸かることになる。

 

 昔の東日本大震災の大津波の高さが10メートル強であったことを考えればその破壊力と恐ろしさがご理解いただけると思う。

 しかも放射能汚染された海水なのだ。


 攻撃を受けた都市は今後100年程度は人が住めなくなってしまうだろう。


 このポセイドンには射程距離というものがない。


 原子力魚雷でほぼ無限に自在に地球の海を泳ぎ続ける。

 もっとも深海には電波も減衰して届かないため、遠隔操作は困難で深海の地形を読み込ませたAIによりスクリュー音もほとんどなく目的に近づくのだ。


 

 そして今明石市にはその脅威が迫っていることをまだれも知らない。



 ********


 時間軸を遡り、プ連領内某所。



 山本三十六はプ連で復活したKGB諜報員と対峙していた。

 プ連内部情報を得るために二重スパイとして潜入していたのだ。

 10年に渡り相棒として信用を勝ち取っていたイワノフだ。


 「Да (ダー)?нет(ニエット)?」


 「NO!断る!」


三十六はあえてロシア語を使わずに拒否した。

同時に左手に飛び、ヘッケラー&コッホ(H&K) SFP9拳銃を撃つ。


 イワノフのMP-443グラッチ拳銃を弾き飛ばし、次弾で冷徹に頭を撃ち抜く。

 10年も寝食を共にしたバディだったが時が来てしまったのだ。


 プ連側を信用させるため先の世界大戦でも山本三十六は日本の情報をプ連に流し続けた。


 その目的は市ヶ谷の日本国自衛軍統合司令本部の統合司令官から直接命令を受けた、防御不能な核魚雷ポセイドンの監視のためだけのために。


 そして今、核魚雷ポセイドン作戦指示計画書に書記長がサインをしてしまったのだ。


 目標は日本国とコーネリアヘルモーズ大公国で共同開発されている新型地上戦闘機械馬スレイブニルオーディンを技術者ごと、女王ごと葬り、代わりにコーネリアヘルモーズ大公国に傀儡政権を打ち立てるためだ。


 穀倉地帯を失い、先の世界大戦で武器弾薬も著しく消耗し、国力の衰えたプ連は豊かな穀倉地帯で軍事産業も栄えたコーネリアヘルモーズ大公国を併呑してプ連の属国とすることを狙っているからだ。


 次回、二重スパイ山本三十六

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