3章 推しとお披露目ライブ
第22話 推しからのSOS1
俺は、再び、WEB小説を本気で書くことになった。以前までは読み専に徹していて主に、ラブコメ小説から癒しを受けて読んでいたのだけど、未来たんと出会い恋人となって同棲するようになってからは、辛い仕事を終えてからの癒しタイムが未来たんからのスキンシップや、大好物の夕食を作って待っていてくれているのでそれで疲れは吹き飛んだ。
極上の癒しを受けるようになった今では、今までの癒しタイムの読書の時間は減ってきていた。その代わりに未来たんとの二人の時間が増えていった。因みに、彼女と同棲しているのは、俺と未来たんだけの秘密だ。この秘密が明るみに出れば、世間から何を言われるか分かったものじゃない。
俺は、この奇跡みたいな体験を忘れたくないと、出会いのキッカケから今までの出来事を手帳に記していった。そして、それで自己満足するのに飽き足らず、誰かに、この幸せを分けてあげたい、共感して欲しい気持ちから、数年振りに、小説投稿サイト『小説を書こうよ』衝動的に未来たんとの出会ってからの体験を元にしたアイドル小説を新しく投稿を始めた。
最初は、なかなかPVが付かなく順調とは言えなかったけど、投稿頻度をまめにして投稿を重ねていくうちに喜ばしいことに次第に、PVやブックマークも増えていった。
未来たんとの同棲生活を元にした同棲生活編や、先日行ってきた、ドリームランドの一泊二日の遊園地デート編を投稿したのだった。
そして、その翌日の今日。スマホの激しく鳴る通知音で目が覚めた。
何事かと思い、スマホが壊れたのかと焦り、の通知を見てみると『小説を書こうよ』からのいいねの通知やブックマークの通知が、大量にきていて、『小説を書こうよ』内で俺の小説『デスマーチから始まる同棲生活』がバズっていた。
ブックマーク登録数がヤバイことになっていて、一夜にして『デスマ同棲生活』が人気WEB小説へとなっていたのだった。
「佐藤さん、なんだか上機嫌ですけど、何か良いことでもありましたか?」未来たんが作ってくれた朝食を食べていると未来たんが不思議そうに訊いてくる。
俺、そんなに顔に出ていただろうか?まあ、連載小説がバズったんだ。それは、顔も緩むよな。
「いや、実は投稿しているWEB小説がバズってさ。それで顔が緩んでいたみたい」
「え?佐藤さん、小説を書いているのですかー!?すごい!読ませてください」
と思いの外グイグイくる未来たん。そう言えば小説を書いていることは言っていなかったな。
「実は、ラブコメ小説を書いているんだけど……」
未来たんをヒロインのモデルにした小説とは恥ずかしくて言えない。
「いいじゃないですか、ラブコメ!わたしそういうのジャンル大好きなんですよ」
やっぱり女の子ってラブコメ好きだよな。男の俺が書くのもどうかと思うけど、好きなんだからいいじゃないか。
「どうしても見せないとダメ?」
いざ、好きな人に見せるとなると恥ずかしいのだ。せめて俺が居ないところで読んで貰うのならダメージが少ないのだが……
「ダメですよ、佐藤さん。見せなさい!」とまるで隠していたテストを見せなさいと言う母親のように言う未来たん。未来たんママになら見せてもいいのか?もう俺は覚悟を決めて小説サイトを開いてスマホを渡す。
それを読んだ未来たんは、顔を赤らめ、「こ、これは……」と恥ずかしがりながら読み進めていき、顔がどんどん火照り、耳まで赤くなっていき「佐藤さん、この小説のヒロインのモデルって……」
「そうだ、美海のモデルは、未来たんなんだ......」
遂に言ってしまった。どう言われるか怖い!キモいとか言われないといいけど。
「やっぱり。出会いのシーンとか、わたしを佐藤さんが痴漢から助けてくれた、あのことがまんま書かれていますよね?」
「はい、その通りです……」
あちゃー。やっぱり気付かれたかー!
「まったくもう…わたしをモデルにするなら事前に言ってくれないと困りますよ」
と不満をこぼして再び読み進める。しばらくすると、未来たんは「もう、ダメです……」と恥ずかしがりながら艶かしい声をもらす。その姿は、妙にエロくて、俺まで変な気持ちになってしまう。
「どう、だった?」恐る恐る感想を訊いてみると未来たんは、
「ひゃ、ひゃい!」と上ずった声を上げた後、「佐藤さん、この小説は面白いと思うのですが、これ以上は恥ずかしくて読めません!」とギブアップを告げる。
「え?そんなにいけなかったかな?」
そこまで恥ずかしいこと書いたかな。俺、何かまずいっことしちゃった?
「はい、ちょっと恥ずかしくなってしまったので……でも、面白いのですよ!そこだけは勘違いしないでくださいねっ!」慌ててフォローしてくれる未来たん。
良かったーつまらないと言われたらどうしようかと思った。そうしたら再起不能になっていただろう。そう言われて、自分が書いた小説を今一度読み返して、作品の甘々オーラに気付いた。
俺は、なんんてものを未来たんに読ませていたんだ……と、俺も羞恥に駆られるのだった。
「じゃあ、佐藤さん、今日もお仕事、頑張ってきてください。美味しいご飯を作って待っていますね」朝食を終えた俺は未来たんからと天使の微笑みで言われお弁当を持たされた。
これで今日も元気で働ける!と家を出て会社に向かったのだった。
***
夕方、会社から帰ってくると未来たんがスマホの画面を見て硬直していた。
どうしたんだろうか?友達かご家族から、なにやら、マズイMINEでも送られてきたのだろうか?
「どうしたの?未来たんスマホに何かマズイメッセージでも送られてきた?」
「いえ!なんでもないですよ。佐藤さんは気にしないでください」
そう、どこか慌てた素振りで言われてしまった。
あまり、しつこくで訊くとウザがられてしまうかと思って追及はしないでおいた。
夜、寝る前にでも訊くか。未来たんとは、ドリームランドでの宿泊の一件以来、寝る前は、
互いに体を寄せ合ってイチャつくのが習慣化していた。
(因みに変なところを触ったりとかそんんなのじゃない)
「未来たん、俺になにか隠し事していない?」
「いえ、特になにも。」
お互いに身を寄せ合いながら訊く。
「まあ、言いたくないことならいいんだけどさ。俺もこの家の家主だし、本当に困ったときは遠慮なく言ってくれ。仕事の途中だろうと飛んで行くから」
「佐藤さんは、スゴイですね。空を飛べるのですか?まるでスーパーマンみたいですw」
「いや、言葉の綾なんだけどな」
飛んでいくなど、勿論、比喩表現なのだけど、それほどに未来たんのことが心配だった。
***
佐藤さんには申し訳ないけど、わたしは隠しごとをしていた。
そのメッセージは夕方に突然に来た。
日中はいつものように買い物ついでにカフェでお茶して、writerにカフェ写真をアップして、買い物を済ませて、佐藤さん宅に帰宅すると夕方頃、一件のDMがwriterに入った。
それは、アイドル時代のわたしのファンで握手会にも何度も足を運んでくれる大学生の男性。
わたしのライートにいつも真摯にリプをくれるものだからついフォロバをした仲だった。
そんな彼から、DMで、『未来ちゃんが通っているカフェは俺の家から近いんだよね。
この辺りの住みなの?今度、一緒にお茶しない?』とあった。
わたしは怖くなった。迂闊に、カフェの写真なんてアップするからファンから場所を特定されてしまうのだ。 彼のアカウントは即、ブロックしてそれ以降、安易にwriterに投稿することはしなくなった。
もう、ストーカー被害には遭わないだろうと気を許していた矢先、あんなことが起こってしまった。
***
読んでくれてありがとうございます。
改変版として再構築しました。
続きものです。
よろしくお願いします
以降、24話まで話は作り直す予定です
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