第9話 静の魔法


「     」

「どうしたのかな?」

「     」

「あら、まぁ」

「     」


 小さな部屋に静かな音色のオルゴールが流れている。

 オルゴールの音色に合わせて元気な寝息が聞こえる。


 小さな手で一生懸命、母の小指を握りいっぱいお話をする赤子。

 母は赤子のお話にいっぱい返事をする。


「     」

「よしよし。眠たいのかな」

「     」

「あらあら良い夢を見ているのかな」

「     」

 赤子は一生懸命手を広げ、足を伸ばし母に伝える。


 声にならない赤子だけの静かな魔法。

 親と子の今だけの優しい言葉。



 了


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