mog

第1話

明日天気が良ければ散歩に行きたい。

でももし雨ならば家に閉じこもり出たくない。

極端ではあるが私の性質はいつも白黒はっきりしており曖昧なものは何一つなかった。

それが私の長所であり短所でもあった。

ある日叔父が急に出掛けるぞと宣言した。

雨がしとしとと降り続く梅雨の夕暮れ時、

「お食事はどうなさるんですか」と

私は行きたくない気持ちをそっと包み応えた。

叔父は見透かす様に私の目をじっと見て

「遅らせれば良いだろう」と言った。

私は小さく「はい」と返事をする。

叔父は苛立ちを発散させるように自分の頭を

ガシガシと掻いて玄関に向かった。


出掛けたくないなとは思う。

しかし必要であれば従う。

自分の気持ちのままに行動すれば

現実は破綻するから。

私は心の中の箱に白黒はっきりと

物事を仕分け、その箱に蓋をする。

それが私の唯一の処世術だった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る