4話

 ノインは地獄巡りをしていた。

 地獄巡りといっても、大分の温泉巡りではない。本物の地獄だ。

 焦熱地獄の龍旋処(りゅうせんじょ)。

「ここはマナーを守らないと落ちる地獄だぜ」

「うわっ、ドラゴンだ!」

 ドラゴンがノインの周りを旋回する。

「何だ、これは……。毒、か……?」

 ノインは毒と龍の回転の摩擦により、ボロボロになっていく。

(誰か、助けてくれ―――――)


「迎えにきたよ、ノイン!」

「は、葉月!」

「「ノインさーん」」

「ロッソ! シアン!」

「全く、勝手に死なせないんだからね」

「モモちゃん……」

 ボロボロになっていたノインをモモちゃんが抱きとめる。

「ということで、ノインは返してもらうよ!」

「て、天使様?」

 獄卒達は、ポカンとしている。

「はい、天使です」

「じゃあ、連れていくから。今までノインが世話になったわね」

 


「うわっ」

 ノインは棺桶の中から飛び起きた。

「生き返った~!」

 葉月、ロッソ、シアンが、ノインに飛びつく。

「ここは……」

「地獄から、お帰りなさい」

「俺は、死んでたのか?」

「ええ。少しだけね。でも、もう大丈夫よ」

「そうか……」

 ノインは泣きそうになるのを堪え、言う。

「さ、バイト先に謝りに行こうぜ」


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