天間葉月、今日から天使になります!

1話

この物語の主人公は天間葉月てんまはづきという、今日、小学校を卒業する少女である。

 葉月は丸眼鏡をかけ、髪はハーフアップにし、大きなリボンで結んでいる。今日は小学校の卒業式なので、いつもよりお洒落な服を着ておめかししている。

 そんな彼女の目下の悩みは、昨日、些細なことで、親友の、黒崎りんねとケンカをしてしまったことだ。

「葉月、卒業式の後の謝恩会出ないって、どういうこと?」

「だって、私なんかいたって皆、楽しくないし……」

「そういうのがダメだって言ってるじゃん。少しは周りの皆と関わらないと」

「私は、りんねがいてくれれば、それで十分だよ」

「全く、私に依存してちゃダメだって、いつも言ってるのに」

「ごめん」

 葉月は泣きそうになりながら謝る。


 卒業式が終わり、葉月は結局、謝恩会には出ずに一人で帰宅した。

 いつもの本屋に寄り、好きな漫画の最新刊を買う。

 本屋から出ると、店の隅に、黒いもやもやが見えた。

「何、あれ……?」

 その、もやもやが葉月めがけて飛びかかってきた。

 死ぬの、と思った瞬間、誰かが割り込んできた。

「大丈夫か?」

 その人物は、もやもやを払い去った。

「ただの低級霊だ」

「お化け……?」

「まあ、そんなもんだ」

 その人は白い制服を着ていた。どこの学校かは分からない。

 整った顔をした少年で、年は葉月と同い年くらいなようだった。

天間葉月てんまはづきだな?」

 (何で私の名前を知ってるんだろう……)

「う、うん」

「俺は如月快斗きさらぎかいと。天使だ」


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