しゃべりだべり。
霧雨煙草
ライター【いつもの日】
進学のために
地方都市からこの大都会に引っ越してきて
一年が経過した。
最初は毎日のように行っていた
大学もだんだんと友達も出来ないし
義務感に憑りつかれていくような気がして
今は、週に1回行くか行かないかになってしまっている。
ただ現状そうなってしまったは良いものの
その空いた時間を費やしたい
「夢」や「趣味」があるわけでもなく
ただ寝て起きて
バイトしてを繰り返し、夢を追う同世代を
なんだか違うものに見えてしまい
自分と比較してしまい落ち込む。
そんな惰性的な日々を繰り返していた。
そんな毎日の中、ちょうど一年が半分尽きた頃
ある雑多な通りの中にある喫煙所で
「あの人達」と出会った。
その空白でそのまま消えていきそうだった時間は
彩られていく
自分らしくないけれど、そんな気がしたのだった。
1
さっき書いたように
その喫煙所が偶然にも「私」のマンションの最寄りに
あったのもあってか今は、「その人達」とだべるために
毎日のように家からお昼を持参したりして、向かっていた。
「あ、いるいる」
私の暮らしている通りは、土地柄もあってか古着屋やライブハウス
古本屋やバーなどが、雑多に入っている。そんな
賑わっている通りに位置する
雑居ビルにその「喫煙所」はある。
ガラスで
外から中の様子がわかるようになっているため
いつもの人がいるとわかるやいなや
内心安心しながら掠れかけた「smokingroom」
と書かれたステッカーが貼られている扉を開ける。
「裂口さーんお疲れ様です」
「ああ、お疲れさん」
声をかけられたグリーンブラックの長髪に
顔と体に掘られた刺青を施した一見、強面な長身の女性は
「裂口さん」は実は、人間ではない口裂け女だ。
「ようやく休憩ですか?」
「そうそう…今日は予約がいっぱいでさ ふぁぁぁっ…」
そう言いながら裂口さんは、軽くあくびをしながら
伸びをする。すると口元まで裂けた口元があらわに
なる。普段は、タトゥーで目立たない分
迫力二割り増しである。(私はその口元がわりと好きだ)
「あんたも毎日いるけどさ、よく飽きないねぇ」
「そうですか?そんな事ないですよーあっ火もらっていいですか?」
「んっほいよ」
私もポッケから煙草を一本出し火をもらってつけ
一服し煙を出す。
「ありざすっそういえば今日って、ほかの人来るんですか?」
「狼木は、しゃべり好きの常連に捕まって遅れるってさ
あいつもめんどいならめんどいって断っちまえばいいのにねぇ」
「あーwでも、狼木さん優しいですからねぇ」
「ハハッ見た目の割にあいつは食えない男だよ本当」
裂口さんと狼木さんは、昔馴染みらしく容赦がないまぁ向こうも
そうなので仲がいいって事なんだろう。たぶん。
「あんたはどうなんだい?今日」
「特に何もなかったですねぇ~何だったらさっき起きたぐらいです」
「いつも通りだけど、ぐーたらしてるねぇあんた」
「だって起きれなかったんですもん」
「子供じゃあるまいしちゃんと生活リズムは、とっといたほうがいいけどねぇ
まぁウチが言う事でもないけどさ」
「はーい気を付けます」
そんな事をとりとめなくだべっていると
キィと扉が空いて
金髪ベリーショートにスーツを着た女性がコーヒー片手に入ってくる。
「お疲れさんですぅ~いやぁちょっと聴いてぇやぁ」
「狐里さんお疲れ様でーす」
「お疲れさん」
こうやって今日も、駄弁って時間が過ぎていく。
私は、そうやって過ぎていく時間が幸せに感じていくのであった。
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