お釈迦様の手のひらの上

 TwitterのTLにて、全国の不審者の通報のうち、選りすぐりの4つをピックアップして、アンケートで不審者大賞を選ぶというのが流れてきまして。

残念ながらそのツイートは現在削除されてしまっていますが、そのツイートには過去の不審者大賞のエントリーもぶら下げられておりまして。

 いやまあどれもすごかったんですよ。


 創作をしている中で、犯罪者や人でなしや猟奇殺人者みたいなのを登場させる機会ってあると思うんです。

 その場合、作品のクオリティやリアリティのためにそういう連中の犯罪行為や心理や理屈なんかを描く必要にかられる場合もあると思っています。

 私の場合、コリン・ウィルソンや澁澤龍彦、(人肉事件の)佐川君の著作を読んだり、日頃流れてくるニュースの中でそれっぽい犯人の行為、または歴史関連の中に記載されている残虐行為などを参考にして創作しています。

 荒木飛呂彦先生もそういった資料をけっこう集めてらっしゃるようですね。

 ですが、それはあくまでも知識の積み重ねの中で構築する「ヤバい人」でしかないのかなと思うことがあります。

 例えば日用生活で使用するモノ。包丁なんかは一般的ですが、ピーラーや大根おろし器、爪切りなんかも目的語を人体に置き換えるだけでかなり破壊力のあるシーンを描くことができます。ボールペンを武器として使う暗殺者の類は、けっこう昔から使われていて今や珍しくもないほどです。でも、それは、日常的な組み合わせの一部を別のものに置き換えて非日常を作り出しているに過ぎず、ゼロからではなく、1とか2とかからのスタートな創作なわけです。

 お釈迦様の手のひらの上で創作をしている気分です。


 そういう私から見ると、冒頭の不審者の中には、こいつゼロから行ってんな、みたいな方がいらして、発想の自由さは無垢な子供のポエムなみだなと感じたり。

 人に迷惑かけさえしなければ、彼らの行為はある種のアウトサイダーアートとして芸術の新しい第一歩になり得たのかもなぁと、とりとめもなく終わります。

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