第113話~国の盛り上がり(後編)~
美桜が書いた計画書を見ていた男性陣が、今後の会議や国の運営に関わる話で盛り上がっているのを見て、アイリスやサントリナも計画書の内容が気になり、美桜に問いかけた。
「お父様達ばかり会話に花を咲かせて…。美桜ちゃん、後で計画書を見せてもらうとして、お父様達の盛り上がりを見ていたら内容が気になったの。どんな内容を書いたのか教えてもらえるかしら。」
「私にもぜひお教えください!殿下達の楽しそうに話すご様子を見てたら、計画書の内容気になりますわ。」
「そんなに興味を持たれるとは…恥ずかしいですが、嬉しいです。
計画書の内容…スリジエの花を国中に植える方法なのですが、孤児院に咲いているスリジエの花の中に混ざっているまだ
保管方法は、土が崩れないように枯れた麻の繊維を器の形に整えた物に、土と
あとは……年中咲かせたいとの事なので、
美桜がアイリスやサントリナに計画書の内容を話していると、驚いた表情を浮かべながらも、興味津々な様子で話を聞いていた。
美桜の話を聞いていたサントリナが開花時期を遅らせるという言葉に反応した。
「たしかに年中咲いて欲しいとは思っているけど…本当に出来るの?そんな事が…。」
「花に、咲く時期を勘違いさせる…とでも言うのでしょうか…。寒い所に
「開花を遅らせる…。寒い所が必要と言ったわね。それなら、フローライト家の領地に鉱石が取れなくなった廃坑があって、その中は日も当たらず湿っていて、肌寒いからそこが使えそうね。」
「そういう場所でしたらカーネリアン家にもありますのでお力になれますわね。」
美桜の説明にサントリナやアイリスまでも提案を持ち掛け、会話が盛り上がり始めた。
そんな中、アイリスがふと疑問に思った事を美桜に問いかけ、少し気の毒そうな表情を浮かべた。
「そういえば、美桜様、枯れ始めた花達はどうなりますの?…もしかせずとも…ポイされるのですか…。」
「枯れ始めた花達はまだ栄養があります。なので、土に混ぜてしばらく保管していると、花達は土の栄養となって土にかえります。『肥料』って役割ですね。」
美桜はにこやかな笑顔で安心してもらえるようにアイリスに説明した。
美桜の説明に気の毒そうな表情をしていたアイリスはホッと一息つき、安心した表情になった。
サントリナも二人の会話を聞いていると、男性陣だけで盛り上がっていたはずのオリヴァーやライラックが美桜達の話に入ってきた。
「この間の土の質を上げると言う方法だね。この間の計画書でも見たけど、野菜の切れ端だけじゃなくて枯れそうな花でもできるんだね。この間の会議以降、各貴族達がさっそくいろいろ動いているよ。さっきの廃坑の件、他の貴族達の領地にもあるはずだから、また会議に持ち出してみよう。」
「美桜嬢の事だ…さっそく明日から動こうとしているのだろう?少し…時間をくれないか。国中に知らせて同意ももらわないといけない…。すぐにでも会議を開くように声を掛けるが少しだけ時間が欲しい。事が決まったその後は、雇用希望の人手を国中から集めて実行しよう。」
ライラックの言葉に美桜は図星の表情を浮かべたが、事を起こすのに順序を踏まえ、時間がかかる。
それを察した美桜は了承して頷いた。
男性陣だけでなく、女性陣も交えて皆で計画実行のために話し合いをし、執事のカクタスが日付が変わることを伝えに来るまで美桜達は盛り上がっていた。
美桜が計画書をオリヴァー達に見せた翌日、オリヴァーやライラック、フロックスは再び会議を開くため王宮に出掛けていった。
その日の夜遅く、会議に出掛けて行った三人が少しくたびれたような、だが嬉々とした様子で帰ってきた。
美桜達女性陣は、すでに夕食を済ませていたので応接室で談笑をしており、男性陣は着替えや夕食を済ませるなり、美桜達のいる応接室に入ってきて事の報告を始めた。
先に報告を話し始めたのはフロックスだった。
「いやぁ~まさか、会議を持ち掛けたのは今日なのに、当日に会議が始まるとは思ってなかったよ。あんなに会議を嫌がっていた貴族達があんなにも積極的になるなんて驚かされてばかりだ。
それに、いろいろ決まる事態まで起きて、実行もまさかの明日から開始だなんて…国中盛り上がり過ぎだよ…。でも、まぁ…僕が他国に行く前の国に比べてものすごく盛り上がっていて、国民みんなが楽しそうだ!!」
「国が良い方に動くのは喜ばしい事だが…貴族達の迫力が…すごかったな。まさか、自分達の財産をこれからは少し国に返上し、国の経済に回すように言い出したのも驚いた。だが、それがあればまた国の仕事として雇用が増やせて国民達にきちんと給料が支払える。……うん、いい傾向だ。」
フロックスは疲れた表情を浮かべていたが、次第に嬉々とした表情に変わりながら話した。
オリヴァーも疲れたような、呆れたような表情を浮かべながら会議での事を話すが、どこか楽しそうな表情も含まれていた。
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