第112話~国の盛り上がり(前編)~
「さて、見せたいものも見せて、時間も良い頃合いで、体が冷える前においとましましょうか。」
美桜達がスリジエの花畑の前でお茶やお菓子を堪能しながら会話をしている中、一段落着いたのでサントリナが引き上げる提案を持ち掛けた。
その言葉に美桜やライラック、アイリスは賛同し、帰る準備に取り掛かった。
美桜達が帰る準備をしている間、サントリナはシスターに帰る事を伝えに行った。
美桜達の帰る準備が整い、馬車が待機している場所まで行き、待っているとサントリナが戻ってきたので、各々馬車に乗りフローライト家を目指して帰路についた。
その中でアイリスはフローライト家に滞在する準備をするとの事でカーネリアン家に一度戻る事にし、準備が整い次第フローライト家に来ることになった。
美桜達がフローライト家に戻り、美桜やサントリナは着替えるため自室へ、ライラックはいつものようにフローライト家のおもてなしを受けるために、美桜達と玄関先で別れた。
美桜が着替えを終え、 夕食まで時間が少しある事を確認し、書庫に向かった。
書庫に着いた美桜は、植物に関する本を引っ張り出し、紙とペンを用意して、書庫内の円形テーブルに腰かけて、今後自分にできる事、やりたい事をまとめたり本を読みながら計画書を書き始めた。
「(……スリジエの花…すごくキレイでした。絶対にこの国にあふれさせます。その為に私に出来る事…全部やります。……そういえば…ここの世界に来て、私…計画書ばかり書いてる気がします。自分で計画し、行動する…。上手くいかない時もありますが、上手く行った時はものすごく嬉しいです。私……将来も自分で計画して行動に移す仕事…誰かに何かを伝える仕事をしてみたいです。)」
美桜が目の前の作業に夢中になっていると、美桜が書庫にいる事を聞いたサントリナやフロックス、ライラックにオリヴァーが書庫に集まり、美桜が座っているテーブルに向き合う形で空いている椅子に腰掛けた。
真っ先に美桜に声を掛けたのはフロックスだった。
「美桜ちゃん!!お帰り!お出掛け、どうだった?」
「フロックスお兄ちゃん、ただいまです!すっごく、楽しかったです!素敵なモノ、たくさん見せてもらいました!!また私にできる事を探そうと、前向きになれました!!」
フロックスの問いかけに満面の笑みで答える美桜。
その場にいる美桜以外の皆は、いつもの美桜に戻ってる事に安心した表情を浮かべた。
その中で、引き続きフロックスが美桜に話し掛けた。
「沈んでいた顔が吹っ切れた顔しているね!前よりもキラキラしているよ!」
フロックスの言葉に美桜は今までの自分の行動が恥ずかしくなり、顔を赤くし、下を向きながら孤児院でサントリナ達に語った想いを再度フロックス達にも語った。
美桜の話を皆が聞き終わったところで、夕食の時間が来たと執事のカクタスが声を掛けに来た。
話しの続きは夕食の後という事になり、皆は夕食を食べるべく食堂に向かった。
美桜達が食堂へ向かっていると、アイリスがフローライト家に到着したと、屋敷の他の使用人が声を掛けに来た。
それを聞いたサントリナが食堂に通すように指示を出した。
食堂に美桜やライラック、フローライト家が揃い、少し遅れてアイリスも揃った。
皆が席に着き、食事が運ばれるのを談笑を交えて待つ事にし、楽しいひと時となった。
皆は夕食を食べ終わり、再び書庫に集まった。
各々が椅子に腰かけた時に最初に口を開いたのはライラックだった。
「そういえば、美桜嬢、さっき何か書いていたようだけど、何を書いていたのか聞いてもいいかい?」
「先ほど…私がこの間まで抱いていた事をお話ししたのですが、その話の中に出たスリジエの花をこの国中に咲かせる方法をまとめてました。あとは…私に何が出来るか再度書いていました。」
ライラックの問いかけに美桜は先程まで書いていた書類を眺めながら話した。
美桜のその様子にフロックスが驚いた声をあげた。
「えっ!美桜ちゃん、また計画書を書いたの?!美桜ちゃんの計画書って絵も描かれていて、実行する事に関しての長所と短所がわかりやすく書かれているから、見るの楽しいんだ。今回のも見てもいい?」
美桜はフロックスの言葉に再び恥ずかしくなりながらも書類をフロックスに見せた。
その書類をオリヴァーやライラックもフロックスの両側から覗き見た。
「す…すごい…花を植えるのにその方法があったのか…。」
先に驚きの声を発したのは書類を持っていたフロックスだった。
次にオリヴァーが驚いた表情で声を発した。
「これはまた…雇用が増え、国が活性化するぞ…。いやはや…恐れ入った…。会議で出したら他の貴族達の反応がまた楽しみだな…。」
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