第33話~契約の日~
アザレアの復興作業を始めてから2日後。
オリヴァーの書斎。
美桜はオリヴァーと2人でアザレアに関する作業手順の見直しや今後の計画、契約日の確認を話し合っていた。
「お父様、アザレアの人達は良く働いてくれています。土地の整備はもともと進んでいたようで早い段階で例の木の植え替えを始められました。木の量が多いのでさすがにそちらは時間がかかるかと思います。」
「そうか。作業が順調そうで何よりだ。こちらもアザレアの領土の件だが、国王含め各貴族と会議を行った結果、復興にだいぶ時間も金もかかり見返りのない土地などいらないと皆言っていたので我がフローライト家で治める事に話はまとまったよ。
今の復興の計画を知らない他の連中はアザレアの重要性を知ったら目の色を変えるだろうから計画の事を伏せたうえでアザレアをいらないと言った以上この先言及しないように会議に参加した皆と契約を交わしてきた。
無論、会議に参加していない各貴族にも契約書を送り皆から了承済みだ。ぬかりはない。書類もこの通りだ。さて、あとは契約日だが…カノンはこの後も現地に行くのだろう?私も今日は一緒に行くとしよう。」
「はい、今日もお手伝いに行くつもりです。と言っても私が出来ることはもう少ないですが。あと、契約ならいつでも大丈夫とハンプスさんが言ってました。お父様が付いてきてくれるなら心強いです!」そう笑顔で話す美桜。その言葉にオリヴァーは心が温まる。
話もまとまり美桜はいつもの制服に着替えオリヴァーと使用人数十名とアザレに向かう。
現地に着きまずはハンプスの家に向かう。約束していた契約の話をすると快く家に招き入れてくれて挨拶もそこそこにし早速本題に入る。ハンプスは侯爵家の当主を前に緊張しているようだが話は着々と進んでいきお互い契約内容に異論はないという事で署名や判を押し契約が完了する。
契約内容の一部によほどの事がない限りハンプスを市長と認定した。
今後、市長を決める時は選挙制にする事とした。これは美桜の案だ。
ハンプスは少し肩の荷が下りたのか泣きながらオリヴァーと美桜に改めて感謝を伝え何度も頭を下げる。
契約が終わり、美桜は北側の農園(仮)に、オリヴァーは街を見て回ると言って別々に行動をすることにした。
美桜がさっそく北側に行くと本当に農園みたいにきれいな配置で砂糖の実とチョコレートの実の植え替えが順調に行われていた。数はまだまだだが、この2日で合わせて50本近くは植えられている。作業員の話によるとあと5日くらいで北側の境界にあった木の植え替え作業が終わるそうだ。
土地の整備もあと7日ほどで終わるそうで土地の整備が終わり次第、植え替えの班に加わるなり加工の作業に入るなり計画が順調に進みそうで美桜は今後の準備を考え始める。
農園予定地の作業の様子を見終えた後街に戻りオリヴァーと合流した美桜。一度屋敷に戻って準備するものがありその後、鍛冶職人のところに行ってくることを伝えた。
オリヴァーから承諾をもらい、一緒に来ていた使用人にはいつものように炊き出しのお願いをしてアザレアを後にする。
屋敷に一度戻り制服からドレスに着替え、身なりを整えた美桜はデザート用に作ってくれていた焼き菓子と砂糖の実を布に包みバッグに入れて鍛冶職人のもとへ出かける。
リリーは今アザレアで炊き出しをしているため護衛の手配は執事のカクタスがいたので彼にお願いした。
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