1−6

『我があるじよまずは感謝を、この樹海で彷徨いいつか自分を無くしゴーストになっていたであろう姫様たちとすでにアンデッドになっていた私と部下に新しい体をくださってありがとうございます』

『ミネルスちゃんも良かったね。みんなとやっと再会?できて。でもやっぱり死体が無いお姫様達はどうしてもこうやって物に憑依させるしか復活させることができないんだ』


 死体があるミネルスたちアンデットとは違って死体という依代の無い魂は物に憑かせるしかなかった。そうしないと魂が劣化したり成仏してしまう。しかも物に憑かせるにしても怨念や殺意などの強い思念に支配されている魂は勝手に物に憑かせるのを抵抗してくることが実験でわかったのでお姫様たちがすんなり憑依させることができて安心した


『体を得られるだけで十分でございます。初めましてわたくしは元精霊王国第一王女にして星霊の巫女、名をフォスフォフィライトと申します。気軽にフォスとお呼びくださいメルト様。そして、』

『オレは元精霊王国第二王女にして天刃流剣術師範代、琥珀騎士団アンバーナイツの団長アンバーというものだ。これからはよろしくな主君。それと騎士団の名は父上が付けたものであり我が付けたものでは無いからな‼︎自分の名を自分の団につける残念な野郎とは決して違うからな我は』


 生前に団の名前で因縁があったのだろうか?かなり入念に騎士団の名前を付けたのは自分でないとアンバーは主張している

 ただこんなに流暢に自己紹介しているが見た目は宙に浮いたネックレスと鎧の所々から何もない中身が見えるドレスアーマーなのが何ともこの場をコメディー空間にしている


『フォスちゃんの騎士団はなかったの?』

『私は巫女だったので騎士団ではなく神官達を率いていました』

『神官?』

『はい、私たち星霊の神官は星の運行や星霊からの神託、啓示を読み解き世界全体の状況を分析し予測する学者に似た存在だと思ってください』

『占星術ってこと?』

『はいその通りです。占星術のスキルと星霊様からの神託と啓示、そして過去の記録から新たな王の誕生や災害、英雄などの誕生を予言し国政を助けることが仕事です』


 ふむふむフォスちゃんは頭がキレる正統派の王女様で、アンバーちゃんは姫騎士のお転婆王女って感じかな

 それと気になってたことだけど


『たびたび出てくる星霊って誰なの?話からして神様とかそんなんだとは思うけど』

『そのとうり神であらせられます。この星を創り出した創世と原初の神の直系の使徒神であり抑止と啓示の神でございます。この星にとっての危機を知らせ破滅の原因を排除するこの星全体の守護神と言っても差し支えないお方です』

『ふーん、そんな重要な神様なのに今では信仰する人がいなくなっちゃったんだね』

『⁉︎今なんておっしゃいましたか!星霊様の名前が聞こえなくなっていると言いましたか』

『う、うん。私たちプレイヤーの中で徒人とか魔人、エルフを選んだ人が貰える加護の中に原初の神とか掲示の神とかはなかったはずだよ。それとミールから聞いたことだけど、今は威光の神と善の神の派閥と権威の神と悪の神の派閥が争っていて、廻りの神と神秘の神が中立だけどその二つの神たちを信仰している妖精族が権威の神と光の神を信仰している徒人族に味方しているから大陸内で争っているって』


 その話を聞いた瞬間フォスとアンバーはミールに詳しい話を聞きにいくのか急いで女王部屋に向かって行った



『まさか私たちが死んでいる間にそんなことになっているなんて、しかもミールさんの話を聞く限り最低でもこの大陸には原初の神と啓示の神を信仰している者はいないようですね、、、。』

『しかもよりにもよって信仰しなくなった理由があの糞貴族どもがお父様を悪人にするために国で信仰していた原初の神と啓示の神を邪神として扱ったとかいうクッソくだらねぇ理由で』

『さらには無限龍の影響で原初の神がその座を退かれたばかりにその座を求めて神たちが争い始めてその代理戦争にこの大陸の知性を持った種が使われるという何とも間が悪い』


 なんかミールから話を聞いてから2人は怒ってブツブツ言い合っていた


『あの〜それって何かまずいの?』

『簡単に説明しますと、この星の危機を正確に対策と一緒に教えてくださっていた星霊様の啓示を誰も聞かなくなってしまい自分たちが知らないところで起きたこの世の終わりで全滅することになります』

『それに神々の派閥争いのせいでこの大陸の誰もがこの大陸の中で争い続けて他の大陸のことを知らなくなっていやがる、もし隣の大陸から王や最強種が侵略してきたら全滅しかねん』


 あっ、思ったより数倍はやばそう

 世界の終わりが来ることになっても誰も気づかないし気付いたとしても対策できないまま滅びるしお隣の大陸への防衛なんて誰も考えて無いからお隣さんが滅ぼそうと思えば簡単にこの大陸は滅ぼされちゃうらしい…これってこの大陸でのメインシナリオじゃないの⁉︎知っちゃっていいの⁉︎

 ……はぁ、もういいや今知っていいかなんて今更だったしとりあえず今はこの樹海を支配する方法を考えよう

 今の所の大きな目標はこの大陸の王族貴族の殲滅と原初の神と啓示の神への信仰の回復かな


 その後も精霊王が生きていた時代と今との常識の齟齬をミールとフォスたちを交えて語り合った

 結果しばらくは精霊王が生前取り決めた東の大陸の王との約束により攻めてくることはないが西の大陸には注意しておこうと結論が出た。ちなみに東の大陸の王は真祖、西の大陸の王は斉天大聖らしい

 それと厄介なことに七天使と七悪魔は無差別に襲って来るらしくそいつらは対策しようもないらしい。ミールは『白羽虫と黒羽虫』アンバーは『害鳥ども』あのフォスも話題に出た瞬間顔を顰めていた


『そういえばフォスとアンバーって今スキル何持ってんの?』

わたくしは地水火風光闇の中位までの魔術とこの体になって氷と樹、無の魔術も使えるようになりました。それと占星術による自然災害の予知と、天啓によって世界の変化を知ることができます。魔力系のスキルもいくつか持っていますので主様の魔術発動の補助もできますよ』

『オレは天刃流剣術による剣が得意だが近距離戦闘だったら武器はなんでもいいそれと騎馬戦なんかもできる、だが姉上のように魔術や占いなんかの細かいことはできんが相手が槍だろうと戦斧だろうと打ち合いだったら勝てるぞ』


 天刃流剣術について詳しく聞くと魔力を武器と体に纏わせてリーチの延長と魔術の切断、果ては男の子の憧れ飛ぶ斬撃も打てるらしく、見せてもらったら魔力でできた半透明の刃が飛んでいった

 ちなみに錬金術で作った9本のリビングソードはアンバーの各部アーマーに隠されていてアンバーは基本一刀流なので残りの8本は私が操って牽制や暗殺に使うことにした。見た目は完全に某宇宙戦記のフ○ンネルです、どこからどう見たってファ○ネルです

 それと中位魔術とは各魔術スキルを取ってから強化して6〜10番目の魔術であり、5番目までが下位魔術で6番目以降はその魔術ツリー独自の魔術であり10番目までが中位、15番目までが上位または禁忌魔術、それ以上は魔導と呼ばれているらしい


 その後フォスには詠唱省略と魔術陣、並列詠唱をアンバーには魔手と二刀流、持ってなかった身体能力向上スキルをとってあげた


『前にも言ったと思うけど、私みたいな来訪者はこの世界に魂だけ来てるようなものだから元の世界に時々帰らなきゃ行けなくて明日からは今までよりもこっちにいられる時間が少なくなるけどやることは事前に伝えたし私がいない間よろしくね♪というわけでミールちゃん、今の所の樹海の支配状況はどれくらい?』

『今はオークの集落を3つ残して殲滅しゴブリンの集落も同じく3つだけ残して殲滅しました。そして先日も言った通り残りは山を超えた南側だけでトレントと獣たちが支配しているのは確認済みです』

『それじゃぁ、この森の支配の最終段階はみんなで一気に攻め込んじゃいますか!』


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 初めましての方は初めまして、前から読んでくださっている方は続けて読んでくださりありがとうございます。

 作者のH2ゾンビと申します。

 首飾り清楚っのフォスちゃんと鎧オレっのアンバーちゃんです。この作品にちゃんとした人形ひとがたの女の子は出てこないのかって“私にも分からん”

 星霊様はガブリエルやヘルメスと同じような神だと思っておけば十分です

 それでは1−7でまたお会いしましょう

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