警官

「……じゃあ、連れて行きますよ、ながれさん」


「オナシャーッス」


「あっ、あう」


「…………!」


このままじゃ、赤ちゃんが、警察に、連れて行かれてしまう……!


「おあ~! おあ~!」


ぐぅっ…………!


「おぁあ~~~~!!」


頼むから、そんな顔で、泣かないでくれ……!


「ま、待って下さい!」


「拓児!?」


「拓児さん!?」


星夜と瞳ちゃんの視線が、一斉に俺に向く。


「ほ、本当は、その子、俺の、子供なんです!」


「何だと?」


「はぁ!?」


「はい! 実は、学生時代に付き合ってた彼女と、デキちゃって……」


「おい、拓児!」


「も、もう、いい!


 帰るぞ、平井」


偉そうな警官は、見るからにパシりな部下を、あごで促した。


「いいんスか? 剛力 巡査長」


「全く……人騒がせな」

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